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【書籍化&コミカライズ】転生した私は幼い女伯爵 後見人の公爵に餌付けしながら、領地発展のために万能魔法で色々作るつもりです  作者: もーりんもも
第二章 領地を改革します

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156 シュークリーム問題

 王太子たちが屋外でランチを食べている間に、手が空いている従業員を集めて一斉に食事を済ませることにした。

 さすがにお客様の目につくところで食べてもらう訳にはいかないので、厨房に椅子を持って入ってもらい、(まかな)いを食べるテーブルにぎゅうぎゅう詰めに座ってもらった。


 ハンスとアルマには公爵たちの料理に集中してほしいので、敢えてロディに賄いのカスクートを作ってもらった。

 私が試食しているとき、ローラが食べたそうに目を輝かせていたから、三センチくらいに切ってもらって彼女にも食べてもらった。


「どう、ローラ? リュドビク様がわざわざ『美味しかった』とお手紙に書いてくださったくらいだから、私としてはかなり自信があるのだけれど?」

「はい。とても美味しいです」

「ロディも短い間によく覚えてくれたわ」


 そう言うとアルマを補助していたロディが顔をこちらに向けて、「ありがとうございます!」と破顔した。

 でも本当に味付けも見た目も問題なく合格だ。

 これはゆくゆくはテイクアウト可にするつもりなので、ロディが完璧に作れることがわかってよかった。

 ここまで作れるなら、ロディから厨房の補助員に指導してもらえるはず。


「ハンスも悪いわね。料理を作るのはランチだけの予定で、手が空いたらロディを鍛えてもらうはずだったのに、急遽、夕食まで作ってもらうことになってしまって」


 ハンスは一瞬だけ手を止めて、「私なら構いません」と笑ってくれた。

 ほんと感謝。心の中で手を合わせておこう。


「明日の朝食用にアルマがスープとハッシュドポテトの準備をするので、それだけ一緒に確認してね。夜、迎えの馬車をやるので、明日はお昼までゆっくり休んでね」

「はい」


 さて。そろそろ殿下たちのところへ行くとするか。




 殿下たちのテーブルの近くには護衛騎士が二名立っていた。

 さっき二名の騎士が荷物を持って、マルコムと一緒に客室の安全を確かめに行ったからね。

 うわっ。まさかと思ったけれど、ギヨームが隣のテーブルでカスクートを食べていた。

 軽食だからいいってものじゃないと思うけれど。まあでも、食事はしなきゃいけないからやむを得ないか。


 公爵たち三人は既にデザートも食べ終えて、まったりと紅茶を飲んでいる。


「お食事は楽しんでいただけましたでしょうか?」


 丁寧にお辞儀をして王太子に尋ねる。


「大変素晴らしかった。この建物から料理まで、ほとんどマルティーヌ嬢が考えたって聞いたけれど、君は本当に十二歳かい?」


 ですよねー。


「ガイは特に、肉に並々とチーズをかけて食べる料理に感動したようだ。そのような食べ方をしたことがないので新鮮に感じたのだろう。モンテンセン伯爵領の郷土料理ということなので、皆と同じ食べ方をしたかったとのことだ」


 お! 公爵がフォローしてくれた!

 そうだった殿下じゃなくてガイだった。面倒臭いな。


「ありがとう、フランクール公。だが感想くらい私は自分で言える。食事も素晴らしかったが、シュークリームとかいう焼き菓子が特に気に入った。夕食にも出してもらいたいのだが」

「それはようございました。もちろん――」


 ――げ! 公爵に出すシュークリームってまだあの大きさのままだよね?

 あー! しまったー!

 オーベルジュで出すなら、食べやすい『ミニサイズ』にしたのだと言って小ぶりにしてもらうんだった!

 いや。大丈夫。今はプレオープンで試験運用なんだから。そうだ。サイズはいくつか意見をいただいて見直したことにしよう。そうしよう。


「……? 無理なら別のものでいいよ」

「あ、いえ。大丈夫です。ただ、その。女性のお客様にも同じものをお出ししたいので、シュークリームは大きさを調整している最中だったのです。お気に召されたのなら今夜は同じ大きさのものをご用意いたします」

「あー、そうだったね。プレオープンというのはそういう調整も兼ねているんだね」

「はい。夕食のお時間ですが、六時から七時までにスタートとなりますが、何時にいたしましょうか?」

「うーん、そうだねぇ……」


 本当は予約の時点で聞いていることだからね。チェックインの時の確認事項でもあるけれど。


「あまり遅くならない方がよいだろう。それでなくとも迷惑をかけているのだからな。六時で結構だ」

 

 お! サンキュー、公爵。

 

「では明日のご出発ですが、何時ごろを予定されておりますか?」


 チェックアウト時間も右に同じだよ。

 王太子が、「うーん?」と考え込んだ隙に公爵が、「七時に朝食を取った後、準備出来次第出発する予定だ」と一方的に告げた。

 

「え? 七時に朝食? 随分と早いね」


 王太子が目をパチパチさせて公爵に真顔で抗議している。

 

「今朝はもっと早かったでしょう? 六時に鐘が鳴りますので起きてください。身支度を整えてレストランに集合しましょう」


 なんか公爵は六時半には降りて来そうだな。

 まあ朝食のスタートは七時にして、早く来たら紅茶だけ出すように言っておこう。

 馬車の準備もあるからグレンにも共有しておかないとね。

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追放された悪辣幼女の辺境生活 〜チート魔法と小人さんのお陰で健康で文化的な最高レベルの生活を営んでいます〜
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