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【書籍化&コミカライズ】転生した私は幼い女伯爵 後見人の公爵に餌付けしながら、領地発展のために万能魔法で色々作るつもりです  作者: もーりんもも
第二章 領地を改革します

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143 従業員寮と馬車

3巻発売中です。よろしくお願いします。

別棟(べつむね)の部屋数はもっと増やした方がよかったかしら……」


 一応、将来的に従業員が増えたとして――十八人くらいかな――、全員が入寮を希望しても対応できるように二人部屋を九部屋、オーベルジュの使用人寮として別棟を建てたのだ。


 ちなみに別棟にはその他にも、宿泊客に伴ってやって来た御者や下級使用人たちが泊まれる部屋も作ってある。

 六部屋の客室全部に貴族が宿泊した場合、侍女や従僕、護衛騎士など、主人につきっきりでお世話をする方は、主寝室とつながった使用人用の客室に泊まっていただくけれど、それ以外の下級使用人はそうはいかない。

 なので、別棟に部屋を用意したのだ。それが予備を含めて九部屋。

 別棟も合計十八部屋と、かなりの規模の建物になってしまった。


「オープン時点はそれで十分ではないでしょうか。マルティーヌ様の指示で作られた救護室にはベッドを四台置く予定ですので、使用人の部屋が不足した場合はそちらにお泊まりいただくことも可能ですし、急病人以外の使用を不可とされるのでしたら、カントリーハウスの使用人部屋にお泊まりいただくなど、いかようにもやれます」

「そうね」


 うん。大丈夫な気がしてきた。

 それに、おそらくだけど、私の成形魔法なら壁をずらしたり壁そのものを増やしたりできると思うので、ちょっと部屋は狭くなるけど、一階と二階に一部屋ずつこっそり増築することができると思う。

 ふう。あとは――。


「レイモン。オーベルジュは今のところ何も問題ないようね。後は、その――コホン。KOBANなんだけど――」

「あの、観光案内所を兼ねた騎士の家のことですね?」


 そう。レイモンやローラと話しているうちに、KOBANは市内の見回りの拠点というだけでなく、観光案内所の機能も兼ねることになったのだ。

 どうしてそうなったのかというと。


「マルティーヌ様のおっしゃっていた『馬車の定期運行』の出発地点になるのでしたね」

「ええ、そうよ。それで、その、どうなのかしら?」


 本当に我が儘を言って申し訳ないと思っているんだけど。

 オーベルジュがあまりに順調だったので、あら? これならKOBANも建てられるんじゃない? と思って、契約期間内にできそうなら追加代金を払うので大工に打診してみてほしいと言っていたのだ。


「コホン」


 レイモンが咳払いをして私を静かに見つめた。

 え? え? 何? 何? まさかお説教?


「三人が一月延長できるということでしたので、KOBANの発注をいたしました。木材はマルティーヌ様が運動会で使用する際に増やされましたので、ほんの少し追加発注するだけで建てられるそうです」


 うわー! ありがとう、レイモーン!


「そうなの? よかったわ。となると――定期運行のために馬車を増やしたいわね」

「そうおっしゃると思っておりました。ですが――」


 出たよー! レイモンの『ですが』。

 何? 何? 何なの?


「何か懸念があるのかしら?」

「はい。馬です」

「……あ」


 そういえば、馬を買うのは大変なんだって言っていたっけ。


「フランクール公爵閣下がひとまず保留にされましたので」

「そ、そうね。まずは今ある馬車の運行時間を組み直すところから始めた方がよさそうね。利用者が増加したタイミングで増やせばいいのだしね」

「はい。私もそのご意見に賛成です」


 ですよねー。ちょっと興奮しちゃってた。反省します。

 利用者の多い路線とピーク時間をきちんと調査して、最適な時刻表を作ればいいのよ。うん。そうしよう。


「じゃあ、まずは現状の運行状況を調査してほしいのだけれど、ドニの後任として育てている人をキーファーにつけて、彼の仕事を学ばせていたわよね? そろそろ独り立ちできそう?」


 レイモンのOJTタスクだ。

 公爵のところから来てもらった最高峰の文官につきっきりで学べる機会だったもんね。

 確か、「地図作成は無理でもそれなりに使いものになるように」とか言っていたよね?


「はい。元々侯爵家で働いていた者ですから優秀ではあったのですが、実務面の調整や職人との付き合いなど、随分と成長していました。マルティーヌ様がおっしゃっていた、『フロント』という受付の仕事も問題なく務まると思います」

「そういえば、『ドニの後任をフロント係に』って言っていたわね」

「はい。マルコムといいます。改めて夕食の前にマルティーヌ様にお引き合わせいたします」

「せっかくあなたが育てたのに、横から奪うような形になって悪いわね」


 ――本当に。

 これじゃあいつまで経ってもレイモンは楽にならない。


「本当にごめんなさいね。十五年あったら、一人前の使用人を何十人と育成できていたはずなのにね……」


 忌々しいゲス親父め!


「マルティーヌ様ならば十五年といわず五年で達成されそうに見えますが?」

「え?」

「マルティーヌ様が領地に戻られてまだ一年も経っていらっしゃいませんが、モンテンセン伯爵領をもの凄い早さで改革されています。マルティーヌ様は素晴らしい魔法で領地を強靭なものに作り変えてくださり、独創的な発想で領民を幸せにしてくださっております。収穫祭や運動会なるものは、今でも領民たちの話題に上っていますし、皆、マルティーヌ様が生み出されようとしている新しい仕事に興味津々なのです」


 そ、そうなの? えへへへ。


「馬車の運行に関しましてはマルコムに任せてみましょう」

「そうね。じゃあよろしく。私は今度の休日はKOBANの建設予定地に行ってみるわ。案内所の前に――あ! レイモン――」

「はい。例の物でしたらフランクール公爵閣下にご依頼済です」

「ありがとう! じゃあ、ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ下準備をしたいから、また瓦礫を用意しておいてくれる?」

「かしこまりました」


 ふふふふ。次のお休みが楽しみだわ。

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追放された悪辣幼女の辺境生活 〜チート魔法と小人さんのお陰で健康で文化的な最高レベルの生活を営んでいます〜
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