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【書籍化&コミカライズ】転生した私は幼い女伯爵 後見人の公爵に餌付けしながら、領地発展のために万能魔法で色々作るつもりです  作者: もーりんもも
第二章 領地を改革します

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139 オーベルジュの進捗

「カドコミ」でコミカライズ連載が始まりました‼︎

後書きの下にリンクを貼っていますので、ぜひお立ち寄りください。

 貯水槽の設置が終わってからというもの、私の休日はオーベルジュの建設現場への差し入れ行脚が日課となっている。

 大工たちに気持ちよく仕事をしてもらうため、それはもうこれでもかと大量に焼き菓子を差し入れている。

 なんなら家族へのお土産にもできるよう布でくるんだ個別包装版も作った。

 その甲斐あってか、最初のうちは、子どもが面白半分に視察しに来たと受け取っていた大工たちも、最近では私の訪問を心待ちにするようになっている。


 おそらく馬車が見えたらそれを合図に休憩にしているんだと思う。

 私が馬車を降りると、みんな並んで出迎えてくれるようになったもんね。

 ふふふふ。大成功じゃないの。私の思う壺!

 まあ私に対する対応は、いまだに見学に来たお子ちゃま領主扱いだけど、そんなのぜーんぜん気にしない。

 アレコレとオーダーしたことが目に見えて出来上がっていくのは、めちゃくちゃテンションがアガるから!

 



 一通り建物の様子を見た後、庭で作業していたブルースを直撃した。


「ブルース! もしかして、それがこの前言っていたシンボルツリー?」

「はい。『白い花をつけるもの』というご依頼だったので、マグノリアにしました」


 ほうほう。

 名前は聞いたことあるけれど、どんな花かはよく知らないんだよね。


「それって大きくなるの?」

「放っておくと二階の窓くらいまではすぐですよ」

「そ、そうなの。じゃあ、気をつけておかなくっちゃね」

「まさか、そんなことにはなりません。グレンもよくわかっていますから」

「そ、そうよね」


 ブルースから、「シンボルツリーを植えますか?」と聞かれて、前世の実家の庭にモクレンがあったのを思い出して何となくでリクエストしたんだよね。

 可愛い花が咲いてくれたらいいなあ。


 庭づくりはすこぶる順調。

 最初の設計こそブルースに依頼したけれど、その後ここをメンテナンスするのは、彼の孫のグレンや庭師見習いのシムズの仕事になるので、どこに何を植えるかという設計図のようなものを書いてもらった。

 ちゃんと区切られた区画ごとに、花の種類や植え替えのタイミングなどが記されている。

 今日はグレンも手伝いに来ていて、少し離れたところで初夏に咲く花を植えてくれている。


 私からの花のリクエストは、ダリアとバラとチューリップが必須で、あと、採用しなくても特に構わない花として、シャクヤクとかクレマチスやアナベルなどもリストに入れておいた。

 開花の季節や背の高さ、色合いなどを考慮して、ブルースが素敵な組み合わせを考えてくれたはず。




 そんな四季折々の花に囲まれたオーベルジュ併設のレストランは、壁と屋根が出来上がったので、外観だけ見ればイメージしていた完成形になっている。

 最後は私の成形魔法で全体を白で統一するつもり。

 レンガや木材など、材質で色が微妙に違う感じになるはずなので、それが味わいになるといいな。


 奮発してガラスもたくさん買ったもんね。

 ガラスだけは大工たちに引き渡す前に私の魔法で二回りほど大きくして、形もあらかじめ加工しておいた。

 彼らもそれほど見慣れているものじゃないから大丈夫だろうと、レイモンの許可が下りたのだ。

 一階は大きなアーチ型のガラスにして、外から中の様子が見えるようなデザインだ。


 入り口の真ん前の水深十センチ程のプールのような人工池は私が成形魔法で作った。

 浅いプール池は、例の貯水槽と同じ材質でコーティングしたので、ちょっとやそっとじゃ水漏れはしないと思う。

 溜めた水は定期的に入れ替えができるように、排水溝を地中に伸ばして池よりも低いところにある花壇の近くに流れ出るようにした。

 まあ、水を抜いた後の入れ替えが大変だろうけれど、掃除しないと美しさが保てないもんね。

 ゴミをこまめに取って、水は濁ったら替えるくらいでいいと思う。

 ちなみにこのプール池の側にテラス席を配置する予定。


 ――と、妄想の世界にどっぷり浸っていた私を、ローラが現実に引き戻してくれた。


「マルティーヌ様。デザイナーとのお打ち合わせの準備をそろそろ始めたいのですが、場所はこちらでよろしいのですか?」


 ローラの後ろで、リエーフが例の護岸工事の際に使っていた簡易テーブルを持って立っている。

 

「そうね。まだ水は張っていないけれど、このプールの横にしましょう。ここからレストランの正面を見ながら打ち合わせをしたいわ」

「かしこまりました。それではデザイナーが参りましたらすぐにお茶をお出しできるように準備いたします。マルティーヌ様は先に休憩がてら一杯いかがですか?」

「そうね。いただくわ」


 こうやって出かけた時、ローラは私が無理しないよう、ちょくちょく休憩を取らせようと目を光らせている。

 普段、我が儘をきいてもらっているので、こういう時は、「大丈夫よ」と言いそうになるのをグッと堪えてローラの言う通りにすることにしている。

 まあ、お腹のタプタプ具合によるけれど。貴族ってお茶を飲み過ぎていない?




 リエーフとローラが二人でセッティングしてくれている間、私の頭の中は、レストランで働いてもらうスタッフの制服のことで一杯になっていた。

 そうなのだ。うふふふ。

 ウエイターとウエイトレスの制服!

 今日は領内のドレスメーカーのデザイナーと、制服のデザインの打ち合わせをするのだ。


 あー待ち遠しい。早く来てくれないかなぁ。

7月16日(水)に「転生した私は幼い女伯爵」の3巻が発売されます。

予約受け中ですのでよろしくお願いします!

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追放された悪辣幼女の辺境生活 〜チート魔法と小人さんのお陰で健康で文化的な最高レベルの生活を営んでいます〜
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庭師見習いはシムズで、フィルは馬手見習いじゃないですか?
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