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【書籍化&コミカライズ】転生した私は幼い女伯爵 後見人の公爵に餌付けしながら、領地発展のために万能魔法で色々作るつもりです  作者: もーりんもも
第二章 領地を改革します

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113 最後の日の晩餐

2巻をお買い上げいただいた皆様ありがとうございます。

おかげさまで色々なランキングに入ることができました。

 公爵邸での最後の夜、お別れの晩餐に招待された私は、ダルシーさんと公爵と三人で、大きな大きな長ーい楕円形のテーブルの端に座らされた。

 家長である公爵がお誕生日席で、その左右の端に私とダルシーさんだ。

 たった三人なら小さな丸テーブルでいいと思うけれど、このお城にはそんなしみったれたテーブルなんかないのかもね。

 

「マルティーヌちゃん。お味はいかが? お口に合ったかしら?」

「はい。とても美味しいです」


 さすが公爵家。料理は本当に美味しい。料理長はきっと国内で三本の指に入るくらいの腕前なんだろうな。

 中でも牛テールスープが絶品! 下ごしらえに相当時間がかかるはずだけど、まあ弟子たちが頑張ったんだろう。

 ホロリと崩れるお肉! あー、たまにはこういうメニューもいいかも。帰ったらケイトに作り方知っているか聞いてみよう。


 そうしてみると、この上品な味付けに比べて、カントリーハウスで公爵に出した料理って、なんというか、ファーストフード寄りの、良くてファミレスメニューだったなあ。

 フライドポテトにチーズめちゃがけプレートだもんね。

 それでも公爵は品良くパクついていたよね……あれ?

 もしかして、あの顔で、お子ちゃまの口なのかな?



「よかったわ。毎日マルティーヌちゃんと一緒に食事ができればねえ……。リュドビクはこの通りつまらないでしょう? ねえ、マルティーヌちゃん。王立学園にはここから通うというのはどうかしら? タウンハウスに一人じゃ寂しいでしょう?」


 急に何をおっしゃるんですか! 返事に困るようなことを言わないでください。思わず苦笑いしそうになって焦った。

 一応、咀嚼しているとき以外は『微笑』をセットしているけれど、それで合ってる?

 成人するまでにはもっと色々なバリエーションの表情を覚えないと駄目なんだろうな。

 いや、本当にそうかな……? 隣の公爵なんか、デフォルトがツーンとした感じで、表情パターンも有るんだか無いんだか。


「母上。冗談が過ぎます。遠縁の娘を援助するのとは訳が違います。マルティーヌ嬢はモンテンセン伯爵。れっきとした当主なのですよ?」

「まあ! それくらいわかっているわよ。母親に対して随分よねえ。でも、うふふ。マルティーヌちゃんのお陰だわ。リュドビクとこんな風に冗談を言いながら食事をするのは久しぶりよ」


 そう言って微笑まれましても……。

 冗談を言っていたのはダルシーさんだけでは?

 公爵は表情に変化無し。もっと美味しそうに食べればいいのに。


「君も遠慮せずに意見を言ったらどうだ? 学習のために招いたとはいえ、招待客には違いないのだ。遠慮など不要だ。……ああ、まあ、そうか。表情の取り繕い方は覚えたが会話術はまだだったな。はあ……」


 ちょっと! そのため息はなんですか!


「もうリュドビクったら。『会話術』だなんて大袈裟ねえ。そんなものは王立学園に入学すれば嫌でも身に付くわよ。大勢に囲まれて過ごすのですもの。いろんなグループと接して処世術を学べばいいのよ」


 あのー、ダルシーさん。そういうフラグを立てるような言い方は止めてくれませんかねー。

 なんか怖いんですけど。


「おそらく学園入学時には、その年のリーダー的存在と取り巻きとのグループが既に構成されているでしょうね。マルティーヌ嬢は横のつながりがない状態でその中に放り込まれるのですよ? 普通ならば幼少の頃から自然と身に付けているはずの振る舞いも身に付けぬまま。社交辞令の一つも言えるかどうか……」


 ちょっと、ちょっと! さすがに見くびり過ぎじゃない? 私、社会人経験があるんですけど!


「はあ。ごめんなさいね、マルティーヌちゃん。もし万が一、学園で孤立するようなことになったら言ってちょうだい。私に考えがあるから」


 やだ、怖い。絶対に相談しちゃいけない気がする。

 コホン。ダルシーさんと公爵は、貴族的な物言いで戯れ合っているとして、私たち三人はそれぞれの立場に相応しく完璧なマナーで過ごしている。

 なのに、壁の方から場違いな存在感をアピールしている奴がいる。

 ちっ。ダルシーさんの視界にはギリギリ入らないところに立っている。公爵がギヨームに甘々なことはわかっていたけど、いいのかアレで?

 ローラだって気配を消しているのに、なぜ彼は素でいるの? 顔だってちょっとニヤけているし。彼こそ猛特訓を受けるべきだと思う。


 ギヨームのことは置いておいて、食事をしているのは三人なのに、部屋の中には十人くらいの使用人が控えている。

 何をする人たちなの?

 いろんな方向から見られているのかと思うと落ち着かない。

 っていうか、この部屋を出るまで表情はセットしたままじゃなきゃ駄目なんだ……。使用人にも隙を見せられないって――私にはちょっと耐えられない。


 レイモンたちだって、私がダイニングテーブルで食事をしているときは黙って侍っているけれど、圧迫感を感じたことなんて一度もない。

 あれかな……やっぱり一度でも一緒に食卓を囲んだことがあると違うのかな……。

 あー、早く領地に戻りたーい!

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追放された悪辣幼女の辺境生活 〜チート魔法と小人さんのお陰で健康で文化的な最高レベルの生活を営んでいます〜
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