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【書籍化&コミカライズ】転生した私は幼い女伯爵 後見人の公爵に餌付けしながら、領地発展のために万能魔法で色々作るつもりです  作者: もーりんもも
第二章 領地を改革します

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101/180

101 公爵親子はピッカピカのキッラキラ

本日11/15は『転生した私は幼い女伯爵』の①巻の発売日です!!

(地方の書店に並ぶのは明日以降になると思いますが)

呱々唄七つ先生が描いてくださった元気いっぱいなマルティーヌの表紙を見かけられたら

ぜひ手に取ってくださいね!!

 眩しいのは部屋の中央に座っている二人。公爵と前公爵夫人。美男美女。


 もちろん、応接室自体も豪華絢爛だけどね。

 広い部屋の中には、何ヶ所かにソファーとテーブルが配置されていて、二人は部屋の真ん中の一際大きくて豪華な一人がけのソファーにそれぞれ座ってくつろいでいる。

 映画のセットの中の役者さんみたい。ものすごく絵になる二人。


 ――などと、俯瞰して見ていた視線を公爵にピントを合わせると、その表情がピキッとなっていることに気づいた。

 あぁ、やってしまった。どうしよう。隣の前公爵夫人の方を見れない。私の第一印象が、大事な第一印象がぁぁぁ!


「入り口に立っていないで、そこに座りなさい」

「あらっ。うふふふ」


 何、今の可愛らしい声は。まさか前公爵夫人?


「うふっ。マルティーヌちゃん。そんなに緊張しないでちょうだい。あなたのことはダイアナから聞いているから、初めて会った気がしないわ。私のことはダルシーって呼んでくれていいのよ」


 えぇぇっ!? ちょっと、サッシュバル夫人!!

 あ、そういえば、友達だとか言っていたような……。

 ひ、ひとまず挨拶を、ちゃんと挨拶をしなくっちゃ。先に名乗られてしまったよ。


「お初にお目にかかります。ダルシー様。お言葉に甘えてそのように呼ばせていただきます。マルティーヌ・モンテンセンでございます。この度はお招きいただきありがとうございます。至らぬ私のために、こちらで様々なご指導をいただけるとのこと、本当にありがたく存じます。後見人を引き受けてくださっただけでなく、このようなお取り計らいまでしていただき、リュドビク様にも心から感謝申し上げます」


 よいしょ。

 着慣れないドレスの裾をちょこんと摘んで、片足スクワットをする気概で身をかがめて挨拶する。


「まあ、上手にご挨拶できたわね。今、お菓子とお茶を持ってこさせるから、さあ、そこに座ってちょうだい」


 ……ええと。私、平均よりも背が低いかもしれませんが、十二歳なんですけど。

 あ、公爵もため息をついている。ドニはこういうところを見て、『妖精』だと思ったの?


「母上。マルティーヌ嬢は子どもではありません。来年には王立学園に入学するのですから」

「何を言っているの。まだまだ子どもじゃないの。随分と苦労してきたそうだし。せめて学園入学までは、うーんと甘やかしてあげたいところだけど、伯爵になってしまったのですものね……。残念だわ」

「伯爵令嬢と伯爵とでは天と地ほどの差があります。本人もそこは覚悟しているようなので」


 公爵の言う『覚悟』って何?

 最初に会ったときの野望に満ちたプレゼンのことを言ってる?

 親子の会話には口を挟めないので、妖精さんが『そこ』と指した公爵の近くのソファーに黙って座った。


 後ろを振り向けないけど、ローラは壁にピタリと張り付いて空気になっているんだろうな。

 背もたれに寄りかからず、ピンと背筋を伸ばしたままお行儀よくして、話を振られるのを待っていると、急に部屋のドアが開いて、男性が入ってきた。

 このお城でノックもしないで部屋に入ってくるなんて、誰?!



「マルティーヌ! 来たね、来たんだね! お菓子も持ってきたんだろう?」


 何故パトリックがここに? そしてお菓子? そりゃあ、持ってきたけどさ。公爵への貢ぎ物だよ?


「パトリック兄様」


 え? 間違いなく妖精さんの声なんだけど、その一言で、なぜか部屋の中をブリザードが吹き荒れた。

 妖精さんのお顔は汚れを知らぬ少女のような清らかさで、声色も軽やかで甘い声だったけど。

 ――けど。なんというか、思念? 見えないんだけど、確かに妖精さんから何かが放出されている。

 そしてそれがパトリックを黙らせ、部屋の温度を一瞬にして十度くらい下げた。


「あ、ダルシー。あは、あはははは――は」


 うわぁ。あのパトリックがたじたじになっている。そういえば前に公爵が、「私の母の兄に当たる方」と、言っていたね。


「……伯父上。マルティーヌ嬢は貴族としての嗜みを身につけるために来たのですよ。大人が手本を示してくれないと困ります」

「そうですわよ、パトリック兄様。悪い見本になるようなら私にも考えがあります」

「は? 考え? えー、嫌だなぁ。なんかとっても嫌な予感がするなぁ。僕はマルティーヌの勉強の邪魔なんてしないよ? でも、それは明日からでいいんじゃないかな? 今日は着いたばかりなんだし、少しくらいは休ませてあげようよ。なんなら僕がこの屋敷を案内してあげようか」


 賛成! それがいい。そうして欲しい!

 パトリック、カモン!

 あー、とにかく早く連れ出してほしい。筋力がないせいか、この姿勢のままでいるのが苦しくてたまらない。


「伯父上。確か、お菓子がどうとかおっしゃっていましたね。マルティーヌ嬢が持参した荷物は全てアーロンが片付けているはずですが」

「はあー!」


 私もうっかり、「えぇっ!」と声を上げるところだった。お菓子はちゃっかり差し押さえ済みってこと?



『お口に合うかわかりませんが。おほほほ』

『まあ、お気遣いありがとうございます。おほほほ』


 ――的なやり取りは? 絶対マナー違反だと思います!

 


「くぅ。……行こう、マルティーヌ! まだ間に合うはずだ!」


 は?

 気を引き締めていたはずなのに、ポカンとした顔になってしまった。

 パトリックの馬鹿!


「ほらっ、行くよ」


 そう言うと、パトリックは私の手を掴んで立たせた。


「伯父上!」

「パトリック兄様!」


 パトリックは二人の制止を無視して、ドア目掛けて足を早めた。私は強制的に早歩きをさせられている。



 嫌だぁ!! これじゃあ共犯になっちゃうよ!!

新刊コーナーに平積みしてくださっている書店もあるようですが、表紙が見当たらない時は棚に入れられていると思います。

『転生した私は幼い女伯爵』は「あ」で始まるアース・スターノベルなので、おそらく棚の一番上に、『私が帰りたい場所は』は「ど」で始まるDREノベルスなので中段あたりに並べられていると思います。

書店にお寄りの際はよろしくお願いします!!

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追放された悪辣幼女の辺境生活 〜チート魔法と小人さんのお陰で健康で文化的な最高レベルの生活を営んでいます〜
第二部の連載を再開しました!

12月17日(水)に発売される『転生した私は幼い女伯爵』4巻の書影が公開されました。
あらすじやイラストは詳細ページをご覧ください。
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カドコミ にて『転生した私は幼い女伯爵』のコミカライズ連載中です。

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― 新着の感想 ―
パトリックは公爵閣下の御母堂の弟君だったのですね。それならば、漢字表記は「伯父」ではなく、「叔父」の方が適切です。しかし、御母堂が妹であるのに「姉」と呼ぶ事情があるのでしたら、公爵閣下も「伯父」と呼ば…
元公爵夫人より前公爵夫人の方が言葉としていいと思う
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