6話 - ロボット、猫を飼う 後編①
ピロリロン、ピロリロン。
コンビニにお客さんが入るときになる音です。
ハチはいつも働いているコンビニにハチはやってききました。目的のものを買い物かごに入れてレジに向かうとレジには同じアルバイトのビジュアル系の見た目をしたマキがいました。
マキはハチに気付くとダルそうな表情が少し柔らかくなりました。
強盗に襲われたのでバイトを辞めるのではないかと落ち武者店長が心配していましたが、意外に度胸のあるマキは何事もなかったかのようにバイトをそのまま続けていました。ハチには少し好意があるようです。命の恩人ですからね。
「ハチさんじゃないっすか。珍しいっすね。コンビニで買い物なんて」
「まぁな」
普段、ハチはコンビニで買い物をしません。コンビニの商品はスーパーに比べると割高なので買い物はスーパーまで普段は済ましています。しかし、今は一刻を争うときなのでそういう時は近くて何でも売ってるコンビニはとても便利です。
「…」
「どうした?」
「ハチさん。日本酒飲むんすね」
大吟醸、250mlで500円をバーコードに読み込ませました。
「…まぁ」
ハチはアルコールを飲むこともできます。食べ物を自身の活動に必要なエネルギーに変換することができます。アルコールは普段、ハチが補給している燃料に比べればエネルギー率は低いですが、他の食べ物を取り込むくらいならばお酒の方がエネルギー率は高いです。しかし、値段も高いので普段は手を出しません。
しかし、今回はハチが飲むために買うわけではありません。
「知り合いに買って来いって言われて」
知り合いとはギンジのことです。猫ですが。
「へぇ~」
次にバーコードを読み込んだのは猫缶でした。
「…ハチさん。猫缶はおつまみになりませんよ」
真面目な顔で言われました。
「知ってるわ」
正直、この買い物は恥ずかしくて行きたくなかったのが本心でした。
その後、マキからハチのバイト勤務一週間記念に猫缶とカップ酒が送られました。




