6話 - ロボット、猫を飼う 前編②
ドダバタ!がしゃーん!ばりーん!ガターン!
「…たく、何度目ですか?」
そう宮城は思いました。
隣に住む美少女、イズミの部屋に突如転がり込んできた青年。団地の皆が彼氏かとそわそわしましたが、どうも上京してきた親戚の人らしいと宮城は聞いています。彼が来てからというもの隣の部屋はいつも修学旅行の中の中学生の旅館の部屋みたく暴れるし、騒がしいです。
「たく、この売れっ子漫画家の創作活動を邪魔しないでもらえるかな?」
売れっ子ではありません。連載を勝ち取れそうなところにいる三流漫画家です。
宮城は隣の部屋に注意するために立ち上がり部屋を出るためにサンダルに履き替えます。
「そういえば、何回か注意しに行った記憶はあるんだけど、何を言いに行ったのか全然覚えてないのはなぜだろうな?」
それはイズミに記憶を吹き飛ばされているからです。
部屋の戸を開けて隣の部屋の前に移動します。戸を叩いて戸を開けます。普通、他人の家の戸を勝手に開けるなんて非常識極まりないです。
もしかしたら、イズミが着替え中だったらいいなぁ~と変態脳が戸を開けることを躊躇するという常識的な考えを吹き飛ばしてしまいました。
「お~い、うるさいぞ」
と戸を開けると
「にゃー!」
猫が飛び込んできました。思わず両手で捕まえました。
「え?なんで猫?」
猫は茶色と白の毛並みのきれいなかわいい三毛猫です。
「お前かわいいな」
デレていると。
「ニャー!」
部屋の中から猫の声が聞こえました。
「ん?」
視線を猫から部屋に移すと拳が飛んできました。
ギンジを捕まえようと飛ばしたハチの右手が宮城の顔面を直撃しました。そのままギンジを抱えたまま直立不動で倒れて気絶しました。




