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魔法使いが愛したロボット  作者: 駿河留守
第1章 魔法使いとロボット
14/23

3話 - ボタンの魔法②

 ドカァァァァァァァァァン!!!

「ななな、何だ!?」

 異様な轟音と揺れに目を覚ましたのはイズミの隣に住む宮城です。机の上には真っ白な原稿が置かれています。相変わらず何も漫画のネタを浮かばないようですね。ネタを考えている最中に睡魔に襲われ今まで寝ていたようです。さっさと現実を見ればいいと思います。

「爆弾でも落ちたのか?」

 窓の外を見ますが、いつもののどかな団地が広がっているだけで何ともなさそうです。

「もしかして、お隣さんが騒いでいるのかもしれませんね」

 先日も大きな音がしたので注意をしたばかりでした。その音というのが部屋の中が火の海になったり、女子高生がばらばらの死体を段ボールに見たりしていた時のことです。イズミの記憶操作によって騒音の注意をしに行ったことだけは残っています。

「家の中で花火でもやっているんですかね。…まさか。そんな子供じゃあるまいし」

 そのまさかに近いことがすぐ隣の部屋で起こっています。

「まぁ、一応注意しに行きますか」

 心配になった宮城は隣の部屋に行くことに。

 団地の重い鉄の扉を開くと肌を刺すような冷たい冬の風がホカホカに温まっていた頬を刺します。漫画を描くために普段から仕事もせず部屋に閉じこもっています。ですが、漫画は一切描けていません。常に漫画のネタを考えながら過ごしています。面白いネタを編み出すにはある程度アウトプットすることも必要だと思います。閉じこもっていたり、こんな狭い団地の中だけでは得られる情報は限られていますし、固定されています。時には他者の作品をリスペクトしたり、参考にすることで面白い物語が浮かんだりします。今のままでは面白いネタが思いつくはずがありません。

 そんな致命的かもしれない状況にいる宮城はイズミの部屋の前にやってきました。さすがに年頃の女の子の部屋ですので、ノックをしました。

「おーい。騒がし」

 ノックするとなぜか扉が倒れました。

「………え?」

 扉の先はなぜか荒地みたいになっていました。そこにボロボロでエロい感じに肌を露出しているイズミと上半身裸のハチが向かい合っていました。まるで扉の向こう側に別世界が広がっているようでした。

「夢か。うん。きっと夢だな」

 宮城はそう自分に言い聞かせて部屋に戻りました。

「…今のイズミちゃん。エロかったですね。なんか戦っているみたいでした」

 すると宮城は白紙の紙に向かっておもむろににペンを走らせました。先ほどの光景からからインスピレーションをもらった宮城はサクサクと漫画を描き進めていきました。のちに彼は宮崎太郎という名義でJK無双乱舞という女子高生が悪の組織と戦う漫画で連載を勝ち取りました。

 2年で打ち切られました

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