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狐の住む岸辺  作者: マイソフ
第9章 マルクス
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6月9日 午後1時 プッシー・パーク(SHAEF司令部)


 命数、という軍事用語を知らない者は、この連絡会議にはいなかった。しかし海軍からその台詞を聞こうとは、という一驚が陸空軍幕僚の表情に現れていた。


「Dデイ以来、海軍部隊は戦艦から駆逐艦に至るまで、その砲撃力に応じて間断ない沿岸支援を行ってきた」


 連合国遠征(欧州)海軍司令官・ラムゼイ海軍大将は、イギリス人らしい抑制で、陸軍への恨み言を表沙汰にはしなかった。


「だがもう限界だ」


 大砲であれ機関銃であれ、砲身・銃身は発射のたびに高圧・高温にさらされるので、ある発射数に達すると交換が必要になる。もしこれを怠ればまず照準が不正確になり、ついには重大な事故につながる。大型艦の主砲を短期間に酷使したため、次々に命数に近づく砲が生じたのである。


「このペースで行けば、D+7には最初の戦艦が主砲の交換に入らなければならなくなる。現在我が司令部で交換のスケジュールを作成中である」D+7とは上陸後1週間、すなわち6月13日である。


「砲撃力低下の影響は、7月下旬まで解消しないであろう」


 静かなラムゼイの予測に、陸軍の幕僚たちは震撼した。


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