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狐の住む岸辺  作者: マイソフ
第9章 マルクス
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学生と教授の会話 #11


「ドイツ軍は、先生のお話だと、最初の3日ほどはそこにいるだけの戦力で戦ったんですよね」


 学生は復習する。


「そのあとの計画はあったんですか」


「西方軍の反応は決して遅くなかったし、準備もしていたね。南フランスから部隊を引き抜いて上陸地点に回すとか、強い部隊を上陸地点に動かした後に弱い部隊を穴埋めに送るとか。だがね」


 教授は皮肉っぽく笑う。


「連合軍が徹底的に鉄道輸送を妨害したものだから、まあ計画の原型を実際の歴史から想像しようとしても、無理かも知れないな」


「戦闘の計画はどうなんです」


 学生は質問を言い直す。


「このラインで防ごうとか、ここから反撃しようとか」


「今まで話したことを総合してごらん」


 教授は直接には答えなかった。


「ロンメル元帥は、大西洋沿岸は全体として弱すぎると思っていた。すべての防衛力を海岸へ張り付けた。上陸が始まれば部隊の移動は不自由になると思っていた」


「まったく、なかったんですか」


「なかった」


 教授はきっぱりと言った。


「それは、上陸地点が分からなかったからですか」


「分かっても戦力不足は解決しないからね」


 教授はため息をつく。


「ロンメル元帥は、単純な方針を浸透させるのが好みだった」


 精緻な計画は好きではなかった、と教授は言外に込めているようだった。


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