表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
狐の住む岸辺  作者: マイソフ
第5章 日没、あるいはソード・ビーチ
45/132

6月6日 午後2時半 ケンジントン、ロンドン(連合軍第21軍集団司令部)


 モントゴメリーは深く考え込んだままだった。ゴールド・ビーチとソード・ビーチの両方が極めて危険な状態にある。比較的損害の少ないジュノー・ビーチから上陸したカナダ軍はソード・ビーチへの道を開こうと努力したが、かなりまとまったドイツ軍が中間のドゥーブル村に陣を張っていて合同できない。空軍が傘をかぶせている昼間はよいが、夜間になると……


 イギリス軍は、アメリカ軍の持っていない問題を抱えている。人的資源の枯渇である。もともと人口がアメリカに比べればずっと少ないところへ、1939年以来の軍民の損失は激しく、連合軍の占領地域が広がるに連れて兵員の補充もままならなくなってきていた。アメリカ軍とて少し遅れて同じコースを辿っていたし、大西洋を越えての人員集結はそれだけでも難事であったが、この時点ではイギリス軍のほうが深刻である。


 これ以上上陸地で流血に甘んじることは、その後の攻勢に必要な兵力を奪ってしまうことであった。上陸地点にドイツ戦車部隊が迅速に進出してきたため、イギリス軍は損害比のあまり有利ではない戦いを繰り返すことになっている。いずれアメリカ軍がトリックに気づいて、空軍を取り返しに-少なくとも折半に-やってくることも明らかだった。


 2ヶ所で海岸にとどまるより、1ヶ所で突破したほうがよい。モントゴメリーはその恐ろしい考えを、まだ誰にも話せずにいる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ