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狐の住む岸辺  作者: マイソフ
第5章 日没、あるいはソード・ビーチ
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6月6日 午後0時 サン・ソーブール村(ドイツ第91歩兵師団司令部)


 マルクス中将はようやく事態の収拾に成功した。第7軍司令部に向かっていたファライ師団長はようやく連絡がつき、いま大あわてで師団司令部へ駆け戻ってくるところである。第709歩兵師団のシュリーベン師団長も、150キロ南のレンヌでの休暇を切り上げて師団の指揮を取っている。マルクスの直接の指示で活性化した第91師団はカランタン市からシェルブール市に続く道路上の要所の町を確保して、海岸に向かって防衛線を張りつつある。ぼろぼろになった第709師団の残余は半島先端のシェルブール市を指して撤退しており、ヴァローニュ町に駐屯していた第6空挺連隊がこれを迎えて、防衛線の構築に努めている。


 第12SS戦車師団はすでに戦闘に巻き込まれていたが、マルクスには指揮権がない。OKW予備から解放されても、おそらく第1SS戦車軍団が指揮を引き継ぐと思われた。ひとつの戦域にふたつの軍団。ばかげている、とマルクスは思った。


 マルクスがここで出来ることは、すべて終わったようであった。ユタ・ビーチ周辺の海岸はあまりに広く、防備は分散してしまった。空挺部隊は大打撃を受けながら、海岸へのドイツ軍の増援を食い止めた。安定した防衛線を敷けたことをもってよしとすべきであった。他の海岸の状況が良ければ、明日には反撃することも出来よう。


 他の海岸?


 マルクスは、他の海岸のことをすっかり忘却していたことを、自分に認めた。


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