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狐の住む岸辺  作者: マイソフ
第13章 クロス・カウンター
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7月11日 午後1時 マーリニー村(サン=ロー市西10キロ)


 ドイツ軍がこしらえ上げた幅の広い縦深陣地は、アメリカ軍のかけた圧力にたわんでいた。パットンは損害に構わず、部下を叱咤して目標へ突進させている。位置をさらした対戦車砲は、東部戦線の常識から見れば異常な高率で、すぐ戦闘爆撃機に制圧された。その秘密がVHF通信機にあるのは言うまでもない。


 アメリカの戦車ほどではないが、マイヤーの戦車もずいぶん減っている。草ダルマのようにカムフラージュを厚くしても、いちど見つけられてしまえば、最後には爆弾が降ってくる。アメリカ戦車部隊もまた、多くのことをすでに学んでいた。キャタピラ、砲塔のリング、転輪のすき間といった狙いどころを絞られると、優秀なドイツ戦車もそのうちには仕留められる。


 歩兵たちが対戦車ロケットを握りしめてアメリカ戦車を待っている。マイヤーもその中に混じっていた。師団司令部は後方には下がらない。マイヤーに取って、指揮とは、部下に背中を見せることである。敗走する歩兵師団の兵士が、偶然マイヤーの肩章に目を留め、奮起してそのまま陣借りすることもあった。


 マイヤーは、上層部で起こりつつあることは知らない。ディートリッヒが最近ロンメルとよく会っているらしいが、それを政治的な動きに結び付ける感覚は、マイヤーにはなかった。ここにもまた、政治音痴の仕事屋がいる。


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