7月3日 シェルブール市周辺
ついに月が変わってしまった。ドイツ軍の外郭陣地は完成されたものではないが、ところどころに強力な防塁があって、周囲の簡易な陣地がこれを効果的に支援していた。
ようやく外郭陣地が虫食い状態となって、そのすき間をこじ開けたアメリカ軍が市内の敵と交戦を始めている。急がねばならない。時日を要するほど、ノルマンディーへのドイツ軍の封鎖体制は完成するのだ。
いまや陸海空の支援砲火はシェルブール市に牙をむいている。ドイツ軍は様々な所属、様々な国籍のものが一緒になって戦っている。
コリンズ中将は火炎放射戦車が嫌いだったが、この状況ではその威力を認めざるを得なかった。本来の用途にはとんとお呼びが掛からない自走対空機関砲も、大型の火砲のいない陣地に対しては猛威を揮っている。活躍する兵器の違いは、そのまま戦闘の質の違いを反映している。コリンズは戦闘にロマンを求める質ではなかったが、今の戦闘の名誉なき血腥さには辟易していた。
またシェルブール港で火柱が上がった。ドイツ軍が新しい破壊に成功したのだ。シェルブール港を手にいれても、完全に使えるようになるまでにはしばらく掛かりそうだった。




