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狐の住む岸辺  作者: マイソフ
第12章 フォニー・ウォー
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6月23日 ベルリン(SS本部)


 ヒムラーSS(親衛隊)長官は不思議な男であった。残酷でありながら愛されることを望み、動物愛護とユダヤ人大量殺人を同時に推進した。妥協なく非人道的な政策を進めたかと思うと、個人的に連合国との対話の可能性を探った。そして、常にヒトラーには無条件に忠実であって、ヒトラーが彼を信用しても愛してもいないことを知っても、その服従にはいささかの緩みもなかった。


「陸軍に不穏な動きがある?」


「英米の高官と連絡をつける手段を探っている様子です」


 ヒムラーは報告を受けて、じっと机を見つめた。


「総統に対する報告書を用意いたしますか」


「いや、当面私にだけ報告して欲しい」


 ヒムラーは2年前、自らこの種のことを計画してヒトラーに露見し、連絡員を逮捕して口をぬぐった前歴がある。いや、口をぬぐったと見せて、実は……


 陸軍はヒトラー台頭前から厳然と存在する精力であり、ヒトラーの政府とは対抗関係にあって、現在政治権力を持っている人間はいない。とすると、ヒトラーを逮捕または暗殺する動きが出る恐れがある。


 ヒトラーが和平を望まないとき、私はどうすべきだろうか?


 いや、総統は私のすべてだ。私は総統を守る。


 しかし、総統を軟禁して説得することを、他の誰かが引き受けてくれるなら……


 ヒムラーははっと目を上げた。さっきの報告者がまだ辛抱強く待っている。


「もし陸軍に反逆の動きがあれば、私に知らせて欲しい。直ちにだ」


「承知しました」


 報告者が退室したあと、ヒムラーは考えを続けた。もし……


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