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鷹と一緒に異世界転生!〜相棒任せの異世界大冒険〜  作者: 貝人
第四章 獣王の統べる国
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第69話 亜麻色の女の子

 色々危ないオカマと仲良くなり、俺達は巨大な川の前に着いた。利根川よりでかいんじゃないか?


「これ、渡れるのか?」


 船もないし、どうすればいいんだ? 


「ちょっと向こう岸を見てくる」


 蘭が、向こう岸に飛んで行く。


 しかしでかい川だなあ。向こう岸が見えないなんて……日本、いや地球でも中々見れないぞ。実に素晴らしい景色だ、カメラやスマホが無いのが勿体無い。


「カメラやスマホが無い世界ってのが、実に勿体無いなあ」


『かめら? すまほ?』


「うーん? なんて言えばわかるかなあ、絵を残す魔道具だよ」


『絵なら描けば良いじゃない』


「絵心が無い俺には、無理だなあ」


 俺の絵は壊滅的に下手だ、人間を描けばホラーになっちゃうし、風景画を描けば地獄絵図になってしまう。


「俺が、役場に親切心で飾った絵を見て、子供が泣き喚いたり、吐いたりしてなあ。直ぐに役場の上司に撤去させられたなあ……味がある絵だと俺は、思ったんだかなあ……」


『絵を見て吐くって……そんなに酷いのね……誰にでも向き不向きはあるわよ! ヨーイチには、向いてないだけで!』


 リュイに同情されてしまった、まあ今じゃ絵は必要無いしな。リュイと話していると蘭が戻って来た。


「蘭、お疲れ」


蘭を肩に乗せ撫でる、やっぱり蘭の触り心地は天下一だ。


「ん。洋一、撫でてくれるのは嬉しいけど転移するよ。兵士達が何人かこっちを目指してるから」


「んげ、アリア絡みかな?」


「敵意は感じなかったけど、絡まれたら面倒だよ? 向こうに、洋一に見てほしい物があったんだ」


 見てほしい物? なんだろ?


「それじゃ、行きますか!」


 転移して川の反対岸に着いた。そこには俺の目を引く物があった。


「蘭、これ線路か?」


「多分、幅的にも私達が見た事ある様な線路だと思う」


 そう蘭が見つけて来たのは線路。電車が走る様な幅を持っていた。


『センロってなあに?』


「うーんと、線路って言うのは沢山の人や物を乗せて運ぶ魔道具を乗せて走る道だな」


『へー! 私、走ってるのみたい!』


「いやこんな近くを走られたら危ないぞ、だから離れよう」


 俺達は少し離れ、線路沿いに歩く事にした。


「なあ蘭、線路に魔物が入ったらやっぱり、轢くのかな?」


「魔除けの石が大量に敷き詰めてあったから、魔物は線路に、近寄らないと思うよ」


「なるほどなあ」


『ヨーイチ、なにか来るよ?』


 ゴトンゴトンゴトンゴトン


「うお? あれ列車って言うより汽車か? だけど煙を出してないな、どうやって走ってるんだ?」


 黒い汽車の様な物がレールを走り去っていく。機関車の様な煙突は無く、8両編成の黒い列車。


「凄いね、あっちの技術とこっちの技術を合わせた感じかな?」


「明らかに地球人が、関わってるだろうな」


『ヨーイチ達の世界には、こう言うのがあるの?』


「ああ、もっと凄いのもあるぞ。空を飛んだりしてるしな」


『あんな風に?』


 リュイが、指し示す方向を見る


「そうあんな風にってええええええ!!! 気球!?」


「洋一? あの気球落ちてない?」


 気球は緩やかに高度を下げている


「あれは着陸するんじゃないかな?」


「何処に?」


「ここら辺?」


 気球はどんどんこちらに迫って来ている。実際に見ると大きいなあ━━。


「って退避! 退避ー! 逃げろー!」


 蘭とリュイを連れて、全速力で逃げなければ!


「風魔法空圧壁(エアーシールド)


 蘭は魔法で気球を弾き、近くに着陸させる。


「おわ〜! びっくりした!」


 気球から出て来たのは犬の様な耳を付けた、栗色の毛をした背の低い女の子。鼻は人間なんだな、目はくりくりしてる。あの耳もふりたいなあ、尻尾とかないのかな?


「なにするっすか! 魔物すか! 師匠の実験の邪魔はさせないっすよ!」


 女の子は小さなダガーをこちらに向けている。


「あのー。俺、魔物じゃないんだけど」


「魔物め! 人間の様な声を出して惑わすなっす!」


 あれ? この子もしかて俺の事が見えてない? 視力の問題か?


「ケイナ、眼鏡をちゃんとかけなさいっていつも言ってるだろ? ただでさえ視力が悪いんだから」


 気球の中から男の声がする。


「うっす! 師匠でも、魔物がいやらしい声を出してきて!」


「いやらしい声ってなんじゃ!」


「あはは、すいません。今出ますから……あっちょっとケイナ引っ張ってくれ」


 ケイナに引きずられ、気球から出てきた男は痩せ型、黒髪でヨレヨレの白衣を着ていた。男の頭には黒い犬の様な耳が生えていた。


「いやはや、弟子のケイナが失礼をしてすいません。私ケルトと申します、しがない研究者でして、今回も気球の研究に夢中で飛ばしたはいいけど着陸まで考えてませんで、はははは」


「あっあのー? 気球ってケルトさんが作ったんですか?」


「気球に興味があると! 実に素晴らしい!」


 俺の手をぶんぶん握る。おお手の平に肉球がある。気持ちいい!


「さあ、アバドンの私の研究所に行きましょう!」


「えっあの?」


「(とりあえずお邪魔したら? アバドンに知り合いはいないんだし、仲良くしても大丈夫だよ。悪い人じゃないし)」


『(嘘の匂いはしないから、警戒しなくて大丈夫)』


 いやまあケルトさんは良いんだけど、ケイナちゃんがめっちゃ警戒してるんだけど、さっきから爪の出し入れしてて怖いんだけど。

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