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鷹と一緒に異世界転生!〜相棒任せの異世界大冒険〜  作者: 貝人
第五章 怪異が統べる妖の国
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第97話 復活のリュイ


 光が、脈を打つように明滅する。まるで、心臓が鼓動を鳴らすように。クリスタルの中の光が強くて、リュイがみえない。大丈夫なのかな?


━━ドクン


━━ドクン


━━ドクン


「師匠ー! ヘルプミー!」


 鼓動が、早まっている。


 そうこうしている内に、神殿のドアが開く。そこには、師匠が立っていた。やっぱり聞こえたんだな!


「やれやれ。凄い魔力を感じたから来てみれば、精霊の格が上がる瞬間だなんてね。とりあえず……そうりゃ!!」


 師匠が剣を抜き放ち、その剣を地面に突き刺す。


「踊れ、マナよ! 大地に息づく、遍く精霊よ! 僕に力を貸せ! アースバリアフィールド!!」


 師匠が詠唱を始めると、俺の紅い魔眼が共鳴し疼き出す。紅い魔眼を入れられた目から血が滴り落ちる。


「なっなんだよこれ! 師匠と師匠の剣に、精霊の魔力が……!」


「洋一、目から血が……!」


 師匠が剣を軸に舞い踊る。剣舞って奴かな? イケメンだから様になるけど、凄い魔力だ……


「踊れ! 祝え! 新たな、大精霊の誕生を! 世界よ、祝福しろ!」


 剣を引き抜き、リュイに剣を向ける。赤、青、黄、緑、黒、白、の魔力が、リュイの中に入っていく。


「さあ! 産まれよ、世界の落とし子たる、大精霊リュイよ!」


 俺と蘭は、その場から動けなかった。リュイを見守るしか出来ない。


 瞬きをした後、世界から色が消える。


「なっなんだこれ? 蘭? 師匠?」


 二人が動かない。ん? あれ? 師匠が瞬きしたような……。


『ニシシシ! アタチ、完全復活! ババババーン!』


 リュイの笑い声と、完全復活と言う言葉が聞こえた。


「リュイ? リュイなのか?」


 だが、姿は見えない。


『アタチの誕生の時の中でも動けるなんて、やっぱりヨーイチは化け物ね!』


 ケラケラ笑いながら語るリュイ。誕生の時? とにかく、リュイが復活か? また遊べるのか? やったぜえ!


「うおおお! リュイ! お前、急にクリスタルに入りやがって、心配したじゃねえか!」


『あはは、よく寝たー! アタチ、スーパー強くなったからね。どう? スーパーボディのアタチは?』


 はて? スーパーボディとは?


「姿が、見えないんだが……」


 リュイの声だけが、辺りに響いていた。


『あはは。どうしよう、どうやって戻ろうか……あっ!』


 二ヒヒと笑うリュイ。


『ヨーイチ、刮目しなさい! リュイちゃんのハイパーフラッシュ!』


「目があああああああああ!」


 やばい……。今回は、絶対失明した……。


「洋一! 急に目を、押さえてどうしたの?」


 蘭の声が、聞こえたって事は、戻れたのか。


「……リュイにまたフラッシュされた……」


 もはや、目潰しの域だ。


「いやー! 頑張ったかいが、あったなー。どっこいしょっと。お茶でも飲もうかな、あっ蘭ちゃんも飲む?」


 お茶!? 俺の目は? なにも、見えないんだが……。


「あっどうも……」


 蘭も、どうもじゃないよ!


「呑気にお茶を飲んでる場合か! 蘭、師匠、俺の目を治してくれー!」


 早く治してくれ! 見えないって、めちゃくちゃ怖いんだが……。


「あっ洋一……今治すね」


 ありがたいけど、もう少し早く治して欲しかった……。あれ? そう言えば、リュイは?


『ヨーイチ! 目は治ったの? 私のナイスバディを見なさい!』


 身長が5cmから、一気に10cm位になったリュイがいた。プロポーションに変化はない、当然ナイスバディではない。


「ちょっと、身長が大きくなったかな? ナイスバディではないけど……」


『ちょっとって、なによー!! くらえ!』


 極太の雷光が、俺を貫く。


「あぎゃああああああああ!!」


 いつもより、痛いし、痺れる。こっこれが、大精霊の力か……。恐るべし……ガクッ


『あっあれ? ヨーイチ? いつも効かないのに? なんで? どうして?』


 リュイが、慌てふためいてる。


「そりゃあねえ。リュイちゃんは、大精霊になったんだから、技の威力が、上がってて、当たり前だよ。ツンツン、ツンツン」


 あっ、しっ師匠やめて、鞘で、ツンツンしないで……。俺は、うんちじゃないから……んちゃ! って言えないから……。さりげなくリュイを名前で呼んでる……イケメンスキルか。


『よっヨーイチ? 大丈夫だよね?』


 リュイが、心配している。早く立ち上がらないと。まいった上手く足に力が入らん……。


「あっああ。出来れば、次から雷はやめて……」


 俺は、フラフラとしながら立ち上がる。


『ヨーイチなら、大丈夫だと思ったんだけど』


 リュイに悪気はないんだよな、強くなったリュイに俺が勝てないだけか……。なんだか、少し悔しいな。


『ヨーイチも、強くなったんだよね?』


「うん、一応。そのはずなんだけど、師匠、どうなの?」


「いや、全然」


 師匠は、真面目な顔をして、首を横に振る。


「全然ってマジで?」


「うーん、技が使えるようにはなったし、レベルも多少は上がったけどねえ。まだまだだよ。こんなところで、慢心して貰う訳にはいかないからね」


 師匠は不適に笑う。慢心はしないつもりだが、まだまだかー。強くなる為の、道のりは険しいな。もっと強くならなきゃだよなあ。


「洋一。まあ、焦らずにいこう。リュイ様も目を覚ましたんだし」


「そうだな! リュイ、改めてよろしくな!」


『うん。アタチ、がんばるよー! バリバリやっちゃうよー!』


「よーし。じゃあ、この国から出発するよ!」


「「『え?』」」


 師匠のいきなりの、出発発言に、一同唖然としてしまう。


「もうですか?」


「うん。この国を、これ以上の戦禍に巻き込みたいならゆっくりしてても良いけど?」

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