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信玄の厠  作者: 厠 達三
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神様

 とりあえず掌編小説でもやってみる。


**********************************


 交通事故で死んだらしい俺はいきなり神様に任命された。なんでも生前の俺の行いや心掛けが評価されたらしい。正直嬉しかったし、神様になれる魂など殆ど無いと聞かされると悪いことしなくてよかったと思った。


 さすがに神様となると痛みや息苦しさ、気だるさもない。食欲も性欲も名誉欲といったものも湧いてこない。自分が宇宙と一体化したような全能感がある。

 で、神様は神様の務めを果たさなければならない。俺は白いローブをまとった、いかにもな神様の格好をさせられ、真っ白な空間に案内された。そのだだっ広い空間には地球を模したと思われるホログラムのような映像が映しだされていた。仕事は簡単。俺の魂の善なるエネルギーをそのホログラムに流し込んで、その世界の調和を保つというものだった。


 ホログラムには人口や文明度といったパラメーターがあり、そこに生きる自然や生命の調和を保つ、まあ国作りSLGのリアル版と考えるとすんなり理解できた。このあたりの適正値も俺は高かったらしい。ゲーマーだった自分に感謝である。


 早速要領を得た俺は治安の悪い文明に善のエネルギーを送り平和をもたらす。が、次は隣国が攻め込んできたのでこれも善に傾け、和平を結ばせる。すると今度は民衆に不満が溜まってきたのでこれも解消させる。さすが神様。眠気も疲労も感じない。


 しかし自然災害や飢饉、疫病が流行るとまた善が消滅するので文明度を高めてこれに対処させる。しかしバカな連中が高めた文明で兵器作って侵略を開始したり勝手に国境線を引いてドンパチ始めるので気が抜けない。


 また、民の食糧事情を考慮して作った湖や干潟を勝手に埋め立て穀倉地帯なんぞ作りやがったもんだから一気に砂漠化が進んだ。仕方ないので砂漠に植林するも民衆が畜産を始めてそれもダメにしてしまった。


 俺の魂が黒く濁り始める。


 民衆はやがて勝手に文明度を上げ始めた。俺はそのアンバランスを解消させるためにあえて戦争を放置し、文明と人口の調整を図る。だが、一度狂い始めたバランスは決壊する堤防のごとく防ぎようがない。


 奴らは地下資源を掘り始め、その利権を巡って争い、大量殺戮兵器の使用も辞さない。そうかと思えば自然や生物の保護を謳う連中も裏で利権を狙う連中と手を組みよろしくやってる。わずかに残る善なる連中はもう世の中に嫌気が差して小さな幸せを謳歌する始末。


 もういい加減嫌になった俺はその世界を破壊した。遅かれ早かれそうなるのが分かったからだ。


 なんだか星新一にありそうな話ですね。もし似た話があったらご一報下さい。削除しますんで。


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