私はこう思った。「ウサンクサイ」
……と、なんかのCMのセリフを初っ端にぶっ込んでみました。
この世の中に胡散臭いものは数あれど、もっとも胡散臭いのは本音を隠して正論を吐く輩でしょうか。一番最初に思い当たるのが、ちょっと古い話だけど某県のジャンヌ・ダルクとか呼ばれてチヤホヤされてた女子高生。
あの当時は基地問題がかなり顕在化してて、県民大会とか盛んに行われてました。で、そこで若者の主張的な弁論で一躍脚光を浴びた女子高生。見た目もアイドルのように可愛らしく、怒りで目に涙まで湛えたその姿は凛々しく、メディアでさんざん持ち上げられてました。
基地反対派も彼女を旗頭に据え、大々的にキャンペーンを行い、ニュースなどでも米軍基地を激しく糾弾する姿が報じられてましたっけ。
別に自分は基地肯定派じゃないし、県民の皆様の負担が想像できないわけでもありません。が、自分はちょっと胡散臭いなあと思いながら見ていました。いや、自分だけでなく大勢いたんでしょうけど。
それから数年後、たまたまテレビで見たドキュメンタリーで彼女のその後が放映されてました。なんでも大学生になると上京し、女優さんを目指して活動されていたとのこと。放送時はまだ大学生だった彼女。果たして女優さんとしてデビュー出来たかまでは知りませんが、年齢的に言えば今ではおば様役しかできないでしょう。
別にそれ自体を悪いというつもりはありません。ご自身の夢を追うのは健全なことですし、上京したからって転向したわけでもないんでしょう。
ただ番組は彼女の行動を変節と捉えてたようですし、実際そう非難されることも多々あったようです。番組内でも彼女は「なにかできるわけでもありませんし」とか「世間知らずな女のコだったから利用されたのかな?」みたいなコメントしてた記憶があります。
わざわざそんな番組に出演すること自体、彼女が女優としてなかなか厳しかったのであろう現実も垣間見えます。順風満帆にいってりゃそんな番組に出る必要もないでしょ。
思うに、彼女を利用して反対運動を盛り上げたいという機運は確かにあったのでしょう。彼女も最初の内は純粋に基地反対を訴えていたのかもしれません。が、世間が騒いで注目を集めるほど、両者の間に微妙な考え方の違いが生じたと考えられます。
利用する方は利用したし、利用された方もせいぜい利用した事実は否定できません。高尚な正論の主張も結構ですけど、それも邪な下心を隠すだけのものであるなら程度の低いアジでしかありません。涙を浮かべた怒りの表情は確かに画面映えする映像ではあったけれども、「基地には一刻も早くなくなって欲しいです」程度の、彼女の無邪気な主張がどっか胡散臭かったのはそのためなのでしょう。
だからといって彼女を非難したいわけでもありません。ただ、自分だったらかつて志を同じくした同志を見捨てて逃げることはしても、後で悪く言ったりはしませんけどね。ま、これは個人の考えにもよるでしょ。
あれから数十年が経ち、今まさに歴史は繰り返すじゃないけどほぼ似たような胡散臭さを感じております。それがあの環境活動家とかいう、よく分からん肩書を持つ少女、Gさんだったりします。




