不自由って、なに?
あの騒動の顛末を自分は恥ずかしながら正確には把握してません。でも、続報を見た限り、行政側が折れて不自由展の再開を認めたのではなかったかと記憶します。あそこまでメディアにさんざん叩かれてはそうせざるを得ないかな? とも思います。ある意味、仕方ないかと。
もしそうであったなら結果的には「メディアが公権力の決定を表現の自由のもとに覆した!」という快挙を成し遂げたことになりますな。メディアとしてはまずまず、満足いく結果だったことでしょう。もしかすると打ち上げの飲み会でワイドショーの制作スタッフは勝利宣言&乾杯でもやったかもしれません。ただの邪推ですけど。
しかしその後、また変なニュースをちらっとだけ見た記憶があります。本当に記憶の片隅に残ってるだけなので詳しくは知りません。もしかすると記憶違いの可能性もあるかもです。ネットで詳しく調べれば詳しすぎるほど掲載されてるかもしれませんが、アホらしいのでそこまで調べる気もありません。
そのニュースというのは、どこかの国の象徴にあたる人物の写真を燃やしたり踏みつけたりするパフォーマンスが表現の自由のもとに公然と行われ、行政の指導のもと、その展示会は中止に追い込まれた、というものでした。
もし、自分のこの記憶が正しければこの一件もメディアは連日叩くべきでしょう。何を同じこと繰り返してんだ! と。
が、そんな問題提起はなされず、民放各局はこの一件を小さく報じただけで、それきり目にすることはありませんでした。これは自分の勝手な思い込みなのですが、行政が決定を覆して不自由展の再開を認めたことに調子づいて、似たような支持母体を持つ団体が悪乗りしたのではないでしょうか。が、今回は行政に差し止められてもメディアが味方についてくれなかったため、立ち消えになったと。そんな背景が推測されます。
ではなぜ不自由展はオッケーで、後者のパフォーマンスはアウトだったのでしょうか。ほとんど同じものなのに。いやいや! 全然違うものですよ? なに言っちゃってんです? 言いがかりはよしてくださいよ! と、ワイドショーのコメンテーターは言うでしょう。でも、特定の層をターゲットにしたアジって点では大差ありません。
もうこの時点でメディアも自分たちの主張がどっかおかしかったことに気付いたんじゃないでしょうか。いや、最初から気付いてた可能性の方が大いにあります。自分ごときでもちょっとおかしいぞ、くらい思えるものに、いい大学出てるはずの制作スタッフやコメンテーターが気付かないはずがありません。
つまり、公権力をメディアがやっつける。この実績を得たいがためにメディアは連日行政の判断を叩きまくった。で、行政が判断を覆すと、今度はどこぞの団体が表現の自由を盾にとって好き放題やり始めて収拾つかなくなった。ために、メディアは一斉に口を噤んだのではないでしょうか。そうとでも考えなければあんな小さなニュースで終わるはずがありません。
それが小さなニュースで終わった、そして不自由展にしてもほとんど続報を目にしなくなったってことは、要は行政の決定を覆すという目的のために不自由展の仕掛けたアジに乗っかった時点でメディアが敗北していた事実を認めた、ってことなんではないでしょうか。こんなこと今さら言うのは後出しジャンケンもいいとこなんですけど。




