封印解除 前編
自分は作品の封印に関しましては基本的に是のスタンスであります。以前書いたエッセイとは真逆のこと言ってるみたいだけど矛盾はしてません。それとこれとは話が違うだけなのです。
前のエッセイに関して言えば、例えば製作者が素人さんで自信がなかったり、恥ずかしかったりといった、メンタルな部分での封印は許さぬ、といった程度のものに過ぎません。その程度のヌルい理由での封印など認めぬ!
が、発表してから数年経って製作者の思想が変わったとか、変な事件が起こってシャレがシャレじゃ済まなくなったとか、それで修正するのもメンドいので封印しま〜す、ってんならまあアリだと思う。ただのギャグで一部のユーザーに不快感与えるくらいなら封印するってのも製作者の責任のひとつとも思えるのです。
でも、フリーの投稿作品程度ならそこまで気にすることもないかな、というのが自分の考えです。ここらへんは個人の判断に委ねるのが適当ではないかと。
しかし商業作品の場合は話が違ってきます。なにしろカネとってますから。映像作品の場合は見るつもりがなくても見てしまうこともあります。関わる人も大勢いるので作品一本あたりの重みが全然違います。ここらへんは慎重な対応もやむなしと考えます。
以前酔っ払って暴行働いた役者の出演作が封印された時は「そこまでしなくていいんじゃ……」とも思いましたが、それも制作サイドの責任の取り方のひとつなので、それはそれでいいと思います。
が、ヤクの場合は深刻度が違います。酔っ払っての暴行や反社との飲み会、交通事故現場からの逃走程度ならまだ一般人でもやってしまいそうな過失という見方もできます。しかしヤクはそんな酌量の余地がありません。最初の一発に手を出した時点でもうアウトでしょう。なにしろ法律で禁じられてんですから。
それをやったら終わり、しかも多大な迷惑かける、ってのも芸能人さんなら一般人ごときよりもはるかに承知してるはずなのです。それでも手を出すってことはその人がそもそもドキュンだったとしか言いようがありません。
いや、法律云々はもうこの際どうでもよろしい。ヤクがどれほど恐ろしいものかは身をもって教えてくれてる人がたくさんいます。自分も「それゆけ! ◯ーシー」を楽しんで見てましたし、ご本人にも好感持ってました。でも、芸能人には不向きな、繊細な人だったのでしょう。そんな人を戻ってこれないほど追い込むのが薬物なのです。これを安易な気持ちで見逃すのは人として許されないと思うのです。個人的に。
そのヤクに手を出すのならまず先に芸能人やめろや! ってのが持論です。ヤクに手ぇ出しといて芸能人も続けたいなんて、そんなのムシが良すぎです。その人が芸能人に登り詰めるまでに他になりたい人を何人も蹴落としてんですから。
大勢の人が夢見て、大勢の人に夢を与える職業であればこそ、庶民より重いペナルティを課されるべきだと自分は考えてます。他の人がどう思うかは知りませんけど。
かつての大スターはプライベートでも大スターを演じてたし、大横綱と呼ばれた力士も大横綱としての品格を損なわないよう努力してたとも聞きます。それこそがプロってもんです。スターや横綱でなくても、端役や平幕でもそうあるべきだと思います。それでもヤクに手を出すような人は、そもそもプロとしての資質を欠いていたのでしょう。ナンボ実力があったとしても。それがプロユーザーを自負する自分の考え方なのです。
しかしここでふと、思うのです。そこまで厳しいスタンスを自分が取ってるのは、大して興味もない芸能人が相手だからなんじゃないのか? とも。
これが自分の好きなサブカルだったとしたら、そこまで厳しいスタンスを取れるのか? と問われれば、少し動揺してしまいます。
例えばアニメの動画さんがヤクをやってたとか、ゲームのデバッガー、もっと言えばアルバイト程度が実はヤクの常習だったとか。その場合、ゲーム、アニメが封印されるとしたら、自分は同じことが言えるのか? と。




