封印措置
例の薬物女優さん(失礼なネーミングだ……)の出演する大河が撮り直し、ってんでまた民放のワイドショーがおいしくネタにしております。コメンテーターによると放送側が勝手に封印して視聴者不在とか女優さんを追い詰め過ぎなのでは? と、なかなか舌鋒鋭く手厳しい。まあ民放がそういう論調に持ってくのはある意味当たり前なんでしょうけど。これで国民放送が放送に踏み切ったら踏み切ったで今度は全く逆の論調で叩くんでしょうし。
また司会者は「この事件のせいで女優さんは仕事もできないんだからそれで十分制裁になると思うんだけどなぁ〜」なんて言っちゃてましたが……つまり、極論すると芸能人さんはそれだけで特権ってことなのかな? 庶民は全て失うけど、芸能人様はヤクに手を出しても守られると、そういうことですね? 司会がそこまで考えて発言したのかは知りませんけど。ま、ワイドショーは居酒屋政談と同レベルであることが正義なので適切な発言だと思います。
コメンテーターも芸能人は有名なんだからタイホされた時の落差はたかが庶民とは比較になんない、と、要約するとそういう論旨で擁護してましたけど。でもだからこそ厳しいペナルティが課されて当然ともそのたかが庶民の自分などは思うのです。
作品に罪はないって、理屈も分かります。一人の跳ねっ返りのために他の役者さん、制作、関わった全ての人の努力もフイにされるのは納得いかない、ってのも分かります。でもだったらその跳ねっ返りを採用した制作にも責任はあるわけで、そこは割り切るべきではないかとも思うのです。なにしろ薬物ですから。いっときの感情で暴力振るったとか事故現場から逃げたとかとは話の次元が違います。ユーザーに対する背信行為だと分かった上でやってたって悪質さは比較になりません。これが発覚したら大勢の人が多大な損害を被るうえ、ユーザーにも作品が届かなくなるってのは分かってんですから。
まあ、共演者さんに跳ねっ返りを止める権限も義務もありはしないのは分かっちゃいるんですけどね……
もちろんデメリットもあるってのは分かってますよ? 悪意ある役者がヤクに手を出すぞとか言ってプロデューサーやスポンサーを脅す事態も想定されます。お? なんかこれ小説のネタになんない?
まあ民放が異論を唱えるのは二度も薬物禍でドラマ撮り直しって措置を国民放送にやられると民放もそれに倣わざるをえなくならるから、ってのが主な理由なんでしょうね。できれば封印せずに済む論調に持っていきたいって本音が見え隠れします。
それはともかく結論から言ってしまえば作品を封印するって判断は個人的には妥当だと思います。俺は断固国民放送の肩を持つね! とか言ってたら話が終わっちゃうのでここは民放様の顔を立てて作品を封印しないで済む方法を考えてみたいと思います。
やっぱり一番現実的なのはまず番組の最初にテロップを出す。これがテッパンでしょ。
「この作品には薬物でタイホされたバカな役者が出演しています。視聴者の皆様には甚だ不快な思いをさせて申し訳ありませんがなんとかガマンして視聴してください」と。しかしそんなバカな役者が出演したドラマを放送するほど視聴者をバカにした話もありません。誠実を旨とする放送局にはできない相談です。
役者の顔にモザイクをかける。
とにかく薬物役者の出演シーンには顔にモザイクかけて誰だか分からないようにすると。うむ、カンペキ。これなら子供が見ても悪影響はあまり出ないかも。しかし表情が分からんのではドラマの面白さ半減でしょう。シリアスなシーンだと笑っちゃいます。モザイクはダメか〜
ひたすらキャプションを入れる。
薬物役者が出てるシーンは矢印と一緒に「犯罪者」と画面に表示するわけです。歩いてるシーンとかでもそのキャプションが追尾してればその役者は薬物役者だと視聴者に伝わるわけです。しかしそんなもんがいちいち表示されてたら気になってドラマに集中できないぞ。
ってゆうか、もう薬物に手を出してる時点でどんないい演技してても見てるこっちは「犯罪者が演技してる!」とか「このヒト美人だけど薬物やってんだよなぁ〜」とか考えてしまいますがな。視聴率は多分とんでもなく取れると思うけど。ただその視聴者の大半は真面目にドラマを楽しむ、ってわけでもないんだろうなあ。
もしかすると作品を封印するってのは、クスリに手を出した役者さんを一番守ってる措置なんじゃないの?




