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信玄の厠  作者: 厠 達三
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私は騙される

 朝のワイドショーではお年寄り向けに特殊詐欺の手口を毎日のように紹介してくれてます。いいアイデアだと思うし、これによって未然に被害を防いでる効果もあるのかもです。しかし、私はここでフト、思った。


 こう毎日毎日ウイルスみたく新しいバリエーションが登場してくるとお年寄りは覚えられないんじゃないのか? と。

 こんなに手の込んだ詐欺に次々出てこられると、つい昨日やってた手口も忘れてしまいそう。逆に古典的な手口が妙にリアルに思えてしまったり。


 頭のしっかりしてる人は詐欺の気配がしただけでそれとなく分かるだろうからまだいい。しかし記憶力の衰えたお年寄りは信じられないほど人を信用してしまうから困りもの。しかもコントとも思えるほどの物忘れを連発してくれるので、テレビで詐欺の手口が紹介されても次のニュースになったらきれいさっぱり忘れてると思う。


 そういう人はちょっと会話すればすぐわかる。話がスローモー。あれ、それ、これを連発する。同じ会話を繰り返す。この条件に当てはまるお年寄りなら難なく騙せるだろう。やろうと思えば自分にだってできる。


 しかし現実問題として、できる対処法なんてやっぱり番組で手口を公開するくらいしかないんだろうなあ。しかしあっちは手を変え品を変え、次々新しい手口で騙そうとしてくるんだからいたちごっこになるんだろう。詐欺を防ぐより騙す方がずっと簡単なんでしょう。


 こんなときに頼れるのは身内、ご近所なんだろうけど……それもあまり信用しすぎるのも考えもの。財産管理してもらってると思ってたらいつのまにか口座が変わってたなんて事例は珍しくもありません。究極的に自分の身を守れるのは自分しかありませんから。しかしそれすら認識できなくなった人はどうしようもない。そしてそういう人がお金を持ってるんだから悪い奴はそりゃ目をつけるでしょ。


 厄介なのがそういうお年寄りに限って絶対信じちゃいけないような人間を信じちゃうんですよねえ……笑顔と甘い言葉で近付く人間に気を許してしまうのでしょう。信用に足る人物ってのは笑顔も甘言も軽々に見せないもんです。


 かく言う自分だってそうです。厳しいこと言ってくれる人は苦手だし、逆に甘いこと言ってくれる人はいい人だと無条件に思ってしまいます。

 自分も多分、年取ったら騙されるタイプの人間なのでしょう。


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