酷評されない規格

　白物家電カーがやたら酷評される一方で、ほとんど酷評されないどころか、むしろ高評価な不思議な規格も存在します。言わずと知れた軽自動車。もちろん例外はまま存在しますが、全体のレベルは高いと言えそうです。

　ただこの軽自動車、日本でも相当の割合を占めてるのに不思議と自動車雑誌には取り上げられないんですよね。新車のインプレッション記事なんかは大抵、普通自動車。まあその事情もなんとなくは分かるんですけど。

　軽は本体価格が安いし税も保険も優遇されますし。このコスパが軽の普及に寄与している事実は否定できないでしょう。そのため軽を生産、販売しても利幅が小さいのだとか。そしてこの軽という規格は日本独自のものでもあります。いわば全ての軽は国民車と言ってもいいんじゃないでしょうか。

　そのため軽は厳しい制約の中で顧客のニーズに応えていく必要に迫られ、おのずと品質が良くなっていくのでしょう。スタイルは仕方ないにしても。そういう理由もあって、あえて雑誌で取り上げるまでもないのかも。放っといても売れるし品質もいいし。あるいは評論家のハードルも下がってるのかもしれません。

　雑誌は広告主が大手メーカーなので、利幅のある、できれば売りたい車を紹介して欲しい意図は分かります。しかしこれも難儀な話です。

　なにしろその利幅のある車ってのがミドルセダン。クラスで言えばベンツやＢＭＷと競合する厳しい世界。そんな強力なライバルがいるのに何故か酷評される車が多い。比較、対照されるのは同クラスの国産車……しかも日本の事情を考えれば軽の方が合理的。ミドルセダン買いたがる人なんてほとんどいないと思うんですけど。

　ベンツやＢＭＷしか乗らないコダワリ派もいるし。これが見栄なのか所有してみない限り分かんない感覚なのかは自分には知る由もないですが、ただの見栄なら同じ車に乗り続けることもないでしょう。昔は見栄だと思ってたけど。

　これまたある評論家の受け売りですが、日本はさっさと軽の規格を撤廃して普通車の税制を改めろと提言されてました。それがどういう意味なのかは自分のような素人にはよく分かりませんが、それが日本車、メーカーの将来を案じての事だったのでしょう。

　軽は日本独自の規格で海外に競合する車はほとんどありません。日本国内でガラパゴス化はしても、厳しい生存競争の中で進化してきました。そしてそのデザイン、というかスタイルは定められた制約に合わせた意味のあるものでもあります。

　性能も論じても仕方ありません。比較できる外車はないし、居住性や快適性も限界があります。評論家としても軽ほど評価し辛い車もないでしょうね。

　面白いのは海外の車好きがトイカーとか言って軽を個人輸入までして買う人がいるのだとか。軽トラをドリフトの練習車にして遊んだりとか。外人さんの価値観なんて国内にいると分かんないもんです。

　自分は貧乏なので軽の規格撤廃案は正直困惑しますが、この軽の規格ってのはコスパだけでない、他の魅力もあるような気がします。

　まあ、自分は軽で十分満足してるので今更新しい魅力なんか付加されなくてもいいんですけどね。