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7.盗賊団と、逃走劇。

白目になりながら書いてます(謎報告









「あぁ、その子らならさっき向こうに走って行ったよ。……変な男たちに追われているみたいだったが、なにか事件か?」

「いえ、たぶん大丈夫です!! ありがとうございます!!」

「急ぐぞ、ヘリオス!」

「はい!」



 ボクとドンガさんは、街の人に聞き込みをしながら走っていた。

 どうやらティオルとマナリーは二人で一緒にいる、とのことらしい。だが懸念材料は、なにやら怪しい二人組に追いかけられている、ということだった。

 いったい何故、そのようなことになったのか。

 理由までは分からないが、面倒ごとに巻き込まれているのは確実だった。



「……変な男たち、か」

「どうかしました? ドンガさん」

「あぁ、いや……」



 そう考えていると、隣を走るドンガさんが小さく口にする。

 ボクが訊き返すと彼は少し考えてから、こう答えた。



「最近、街で増えてるんだよ。……盗賊団が、さ」

「盗賊団ですか……?」



 それは初耳だ。

 思わず言葉を繰り返すと、ドンガさんは頷く。

 そして、難しい表情を浮かべながらこのように続けるのだった。



「あぁ……王都の外にある山に陣取ってる盗賊が、我が物顔しながら街を歩いてやがる。騎士団も手を焼いているらしく、ギルドに協力が要請される始末だ」

「そう、だったんですか」



 その話を聞いて、ボクは眉をひそめる。

 まさか王国騎士団が手を焼くとは、考えもしなかった。しかし、そのような男たちが街を歩いているのなら、ティオルたちにとってはより危険が大きい。

 早々に見つけ出して助けなければならないだろう。



「急ぎましょう!」

「あぁ、そうだな!」



 だからそう言うと、ドンガさんは大きな声で答える。

 そしてまた、二人を探して駆け出すのだった。







「離して、離してったら!」

「駄目だよ! いま止まると、捕まっちゃう!!」



 ティオルは必死に訴えるマナリーにそう答えながら、一生懸命に足を動かしていた。ダンジョンのように魔素の濃い場所とはまた、勝手が異なる。少年の身体能力は著しく低下――あるいは適性の範囲に戻り、普通の域となっていた。

 それでも一心不乱に駆けたことにより、男たちとはある程度の距離を取れたらしい。しかしながら、下手に立ち止まれば一気に詰められる。


 そのことは、分かっていた。

 だが、いま逃げているのはティオル一人ではない。



「きゃ……!」

「マナリーさん!?」



 そして、そのもう一人であるマナリーは足をもつれさせて転倒した。

 どうやら、彼女の体力は限界に近いらしい。元々が魔法を得意とする少女にとって、この状況は最悪ともいえるものだった。

 額には汗がにじみ、大きく肩で息をしている。

 そんなマナリーにティオルは手を差し出すのだが、少女は首を左右に振った。



「貴方の手なんて、取らない! わたしは、絶対に……!!」



 息も絶え絶え、そう声を上げるマナリー。

 ティオルはそんな少女の気持ちを理解できずに、しばしの困惑に陥った。だがしかし、そんなやり取りすらも今ばかりは命取りになるのだろう。



「おい、こっちから声が聞こえたぞ!」

「絶対に逃がすな!」




 マナリーのそれに反応したらしい。

 男たちが声を荒らげるのが、すぐ近くから聞こえてきた。



「……く、どうしよう!」



 それにティオルは唇を噛む。

 このような街の路地で戦闘になれば、まず勝ち目はなかった。

 どうすれば勝てるか、生き残れるのか。少年はそう、必死になって頭を働かせる。そうやって考えていると、彼はとある気配に気が付いた。




「そうか、これなら……!」

「ちょ、待ちなさい!?」




 ティオルはそう口にした直後、問答無用にマナリーの手を引く。

 そして、二人が飛び込んだのは――。




 


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