7.盗賊団と、逃走劇。
白目になりながら書いてます(謎報告
「あぁ、その子らならさっき向こうに走って行ったよ。……変な男たちに追われているみたいだったが、なにか事件か?」
「いえ、たぶん大丈夫です!! ありがとうございます!!」
「急ぐぞ、ヘリオス!」
「はい!」
ボクとドンガさんは、街の人に聞き込みをしながら走っていた。
どうやらティオルとマナリーは二人で一緒にいる、とのことらしい。だが懸念材料は、なにやら怪しい二人組に追いかけられている、ということだった。
いったい何故、そのようなことになったのか。
理由までは分からないが、面倒ごとに巻き込まれているのは確実だった。
「……変な男たち、か」
「どうかしました? ドンガさん」
「あぁ、いや……」
そう考えていると、隣を走るドンガさんが小さく口にする。
ボクが訊き返すと彼は少し考えてから、こう答えた。
「最近、街で増えてるんだよ。……盗賊団が、さ」
「盗賊団ですか……?」
それは初耳だ。
思わず言葉を繰り返すと、ドンガさんは頷く。
そして、難しい表情を浮かべながらこのように続けるのだった。
「あぁ……王都の外にある山に陣取ってる盗賊が、我が物顔しながら街を歩いてやがる。騎士団も手を焼いているらしく、ギルドに協力が要請される始末だ」
「そう、だったんですか」
その話を聞いて、ボクは眉をひそめる。
まさか王国騎士団が手を焼くとは、考えもしなかった。しかし、そのような男たちが街を歩いているのなら、ティオルたちにとってはより危険が大きい。
早々に見つけ出して助けなければならないだろう。
「急ぎましょう!」
「あぁ、そうだな!」
だからそう言うと、ドンガさんは大きな声で答える。
そしてまた、二人を探して駆け出すのだった。
◆
「離して、離してったら!」
「駄目だよ! いま止まると、捕まっちゃう!!」
ティオルは必死に訴えるマナリーにそう答えながら、一生懸命に足を動かしていた。ダンジョンのように魔素の濃い場所とはまた、勝手が異なる。少年の身体能力は著しく低下――あるいは適性の範囲に戻り、普通の域となっていた。
それでも一心不乱に駆けたことにより、男たちとはある程度の距離を取れたらしい。しかしながら、下手に立ち止まれば一気に詰められる。
そのことは、分かっていた。
だが、いま逃げているのはティオル一人ではない。
「きゃ……!」
「マナリーさん!?」
そして、そのもう一人であるマナリーは足をもつれさせて転倒した。
どうやら、彼女の体力は限界に近いらしい。元々が魔法を得意とする少女にとって、この状況は最悪ともいえるものだった。
額には汗がにじみ、大きく肩で息をしている。
そんなマナリーにティオルは手を差し出すのだが、少女は首を左右に振った。
「貴方の手なんて、取らない! わたしは、絶対に……!!」
息も絶え絶え、そう声を上げるマナリー。
ティオルはそんな少女の気持ちを理解できずに、しばしの困惑に陥った。だがしかし、そんなやり取りすらも今ばかりは命取りになるのだろう。
「おい、こっちから声が聞こえたぞ!」
「絶対に逃がすな!」
マナリーのそれに反応したらしい。
男たちが声を荒らげるのが、すぐ近くから聞こえてきた。
「……く、どうしよう!」
それにティオルは唇を噛む。
このような街の路地で戦闘になれば、まず勝ち目はなかった。
どうすれば勝てるか、生き残れるのか。少年はそう、必死になって頭を働かせる。そうやって考えていると、彼はとある気配に気が付いた。
「そうか、これなら……!」
「ちょ、待ちなさい!?」
ティオルはそう口にした直後、問答無用にマナリーの手を引く。
そして、二人が飛び込んだのは――。
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