6.ティオル、初めてのおつかい。
久々の更新です_(:3 」∠)_
色々と大変なのですが、頑張っていきます。
「えっと、マナリー・グレイシアさん……か」
冒険者カードの名前を確認して、周囲を見回すティオル。
他の冒険者に訊いたところによると、なくし物の所有者は街の方に出ていったとのこと。外見の特徴もしっかり聞き込んだので、あとは人混みの中から見つけ出すだけだった。
しかしながら、この大勢の人の中からマナリーを探し出すのは至難の業だろう。
それでもティオルは深く考えず、意気揚々と進んでいた。
「それにしても、これが人間の街なんだ……!」
その理由というのも、一人で出歩くのが初めてだ、ということもあるだろう。衣類や生活に必要なものを買いに出たことはあるが、それは決まってヘリオスと一緒だった。そのことと比較して、今回はギルドでの仕事である。
すべての裁量は自身にあって、責任もある。
だがそれ以上に、やはりティオルは浮足立つ自分を抑えられないでいた。
「あ、ううん! いまはお仕事、お仕事なんだから!」
口ではそう言葉にするが、それでもやはり気になるのだろう。
視線はしきりに露店などに向かっていたし、前に進んだかと思えば数歩後退する、といった動きを繰り返していた。これではマナリーを見つけるのも、相応に遅くなる。
そう思われたが、意外にも目的の少女はすぐに発見できた。
「あれ、マナリーさん……?」
ちょうど、露店と露店の間にできた空間。
その奥にある路地の暗がりの中、彼女は男性二人と言い合いになっていた。
「返して!? それは、ママから貰った大切なものなの!!」
「あぁ? お前は、あのガキを追い出してほしいんだろ?」
「金がないんだったら、報酬は物で払ってもらうしかねぇよな」
マナリーが必死に手を伸ばす先にあるのは、綺麗な銀時計。
男たちは意地の悪い笑みを浮かべつつ、手にしたそれを品定めするように確認していた。この状況はどう見てもマズイ、というのはティオルにも理解できる。そして、そう思うと同時に、考えるより先に少年の身体は動いていた。
「どれどれ。これだけの品なら、良い金額に――って、あちぃ!?」
「な、なんだ!?」
ダンジョンよりも数段以上、魔素の薄い街の中。
それでも、多少の魔法なら行使可能だった。ティオルの生み出した炎は銀時計を持つ男の腕を焼き、銀時計の奪取に成功する。
「マナリーさん、こっち! ついてきて!!」
「え、あ……え!?」
そして、魔法を喰らった彼ら以上に困惑する少女の手をティオルは取った。
やや乱暴に引っ張ると、マナリーは目を丸くしながらもついてくる。
「あんのガキ! 馬鹿にしやがって!!」
「おい、どこ行きやがった!?」
背中に届くのは、男たちの粗暴な声。
ティオルとマナリーは、今はひとまず必死になって足を動かすのだった。
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