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4.少女の覚悟と視線。

_(:3 」∠)_








「ママ……!!」




 ――マナリーが目を覚ますと、そこは良く知る天井だった。

 夢を見ていたらしい。少女の額からは、脂汗がただならぬ勢いで流れていた。自身の母親の死の場面を思い出したのだから、このようなことになって当然だろう。

 中空に向けて彷徨わせた手を引っ込めながら、マナリーは呼吸を整えた。

 そして、ゆっくりと身を起こして軽くうな垂れるのだ。



「魔物なんて、魔物なんて……大嫌い……!」



 そうして次第に湧き上がってきたのは、怒りに他ならない。

 思い出したのは言うまでもない。あのような存在が、冒険者ギルドの職員を兼ねているなど許しがたいのだ。どうして、そのようなことがまかり通るのか。

 考えると考えるだけ、あってはならない、という思いが噴き上がった。

 だとすれば、自分のするべきことは――。



「きっと、何か悪いことをしているはずよ……!」



 件の人物――ティオルの正体を暴いてやること。

 マナリーはそう考えて、昇り始めた日を窓越しに眺めるのだった。







「最近、妙な視線を感じる……?」

「んー……」



 ある日の昼下がり、ティオルがそんな相談をしてきた。

 ボクは軽い昼食を摂りながら、首を傾げる彼の表情を見る。ミクリアとリュカさんは二人で何かを話し込んでいるし、ひとまず少年の相手になれるのは自分だけのようだ。

 しかしながら、妙な視線と言われても困るのも事実で……。



「ティオルの気のせい、かもしれない。けど――」



 悩み込む彼に聞こえない声の大きさで、考えを口にする。

 そう、少年の気のせいかもしれない。だが――。




「……何かしら危険なことの可能性も、ゼロじゃない」




 ティオルは事情が事情、ということもある。

 それを守るのが自分の役割というのもあるけれど、彼は大切な仲間であり友人だった。そうとなれば最大限、協力するのが筋というものだろう。

 ボクは少し記憶をたどって、ふと『あの少女』のことを思い出した。



「そういえば、ローブの女の子がいたような………………って」

「じー……」

「…………」

「じぃ~……!」

「…………」



 気のせいかもしれないが、少女が不穏な言葉を口にしていた。

 そう考えてそれとなく周囲を見回すと――うん。発見してしまった。本人は隠れているつもりなのだろうけど、思い切り視認できる怪しい少女の姿を。

 ボクは少し考えてから、一つ行動を起こすことにした。



「あのー……? そこのキミ、いいかな」

「ひ!?」

「あ、待って!?」



 下手の考え休むに似たり、だ。

 なのでボクは極力、自然に女の子に声をかけてみた。すると、



「に、逃げられた……」




 少女は大慌てで、どこかへ走って行ってしまう。

 その背中を見送って、しかしあることに気付いた。




「ん、これって……?」




 これは――冒険者カード、か。

 おそらく少女のものだろう、と思って拾い上げて名前を確認した。




「マナリー・グレイシア、か」――と。




 


https://book1.adouzi.eu.org/n8053ie/

新作もよろしくです_(:3 」∠)_





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