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3.少年の夢。

なろうメンテ長かった……!w

応援よろしくです!!









「ヘリオスたちが危ないって、どういうこと!?」

「ティオルはまだ、自分の力がどれ程か分かっていないのです! そして、このダンジョンの環境はまさしく、あの子にとって――」







 ――ミクリアは、息を切らせながらダンジョン内を駆ける。


 オルリアは彼女に語っていた。

 ティオルという少年の持つ可能性と同時に、その危うさについてを。たしかにあの少年は、少女や古代竜にとっての希望であることは間違いなかった。しかしその反面、



「あまりにも強い、異次元の才覚は人間との差を広げかねない……」



 彼は才能に恵まれ過ぎたのだ。

 もっとも、その力というのはダンジョン最奥の潤沢で、穢れのない魔素を前提とする。ティオルは一歩ダンジョンを出れば、力の制御ができず、並の魔法使いと大差なくなるだろう。

 だが、あまりに無垢すぎる現状の彼は危険だった。

 ティオルはまだ、周囲との差についてしっかりと理解していない。



「ヘリオス……アタシが行くまで、なんとか耐えて!」



 そんな少年を止めるために必要なのは、自分の力だろう。

 ミクリアはそう考え、いままさに危機にある仲間の名を口にするのだった。







「あはは! おにいさん、すごい! ぼくの速さについてこられるんだ!!」

「かなり、ギリギリだけどね……!!」



 ティオルが肉薄し、ボクに目がけて拳を振り下ろしてくる。

 それを寸でのところ回避すると打ち付けられた拳を中心として、地面には大きな窪みが発生した。轟音が鳴り響き、粉塵が舞い上がる。それを払うように風の魔法を使用すると、微かな切れ間から少年の小さな身体が飛んできた。



「くっ……!?」



 一足飛びに迫られ、ボクは回避行動を取れずに堪える形になる。

 防御魔法を幾重にも張って、どうにか最後の一枚で一撃を防ぐに至った。するとティオルは驚いたような表情を見せ、しかしすぐに無邪気な笑みを浮かべるのだ。



「凄いよ!! 外の人と『遊ぶ』のが、こんなに楽しいなんて!!」



 ――『遊ぶ』だって!?


 その言葉に、ボクは思わず驚愕する。

 何故なら、それは『少年がまだ本気ではない』のだと意味するからだ。それでこの速度に、破壊力を秘めているのなら、とんでもない才覚だろう。彼の力の源泉が潤沢な魔素であるとしても、その身にある可能性はあまりに大きい。


 だけど、それと同時に思うのだ。

 この少年はもしかして――。




「ねぇ、ティオル……?」

「なに? おにいさん」




 だから、鍔迫り合いの最中に。

 ボクは少年に、こう訊ねていた。





「キミの夢、ってなんだい?」――と。





 すると、彼の瞳は揺らいだ。

 そして力が一気に弱くなって一度、後方へと距離を取る。ボクは剣を下ろして、黙ったまま答えない少年を待った。そうやって、どれだけの時間が経過しただろうか。

 ふと、ティオルはこう口にするのだった。




「ぼく、は――」




 どこか退屈そうに、周囲の岩壁を見回しながら。








「外の世界のことを知りたいんだ……」――と。






 


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