1.竜と人の子。
亀更新で申し訳ない。
もうじき、速度が上がります_(:3 」∠)_
――そのドラゴンは、人という存在に興味を持っていた。
かつて、人との共存を思い描いていた父のように。自身もまた、その理想を掲げたいと願うようになったのだ。そして何年もの歳月を重ね、彼はある魔法を会得するに至る。
「ライオル、お前は本当に行くのだな……?」
「うん。父さんの夢は、息子の俺が叶えてみせるよ!」
エンシェントドラゴン――オルリアと言葉を交わすのは、一人の青年。
いや、目の端に隠し切れない鱗があった。それはすなわち、ライオルという青年もまたドラゴンとの縁者であるということ。
なにを隠そうライオルは、オルリアの一人息子だった。
人の姿になる術を学んだ彼は、父の果たせなかった夢を追うと決めたのだ。そして今日はその旅立ちの時であり、最愛の父との別れの時でもあった。
「気を付けろよ。いったい、何があるか分からない」
「大丈夫だよ、父さん。俺は必ず――」
だが、そんな悲しみに対して。
ライオルは笑顔で応え、こう言うのだった。
「人と竜は共存できるって、証明してみせるからさ!」――と。
それは力強く、向こう見ずで。
だけども、希望に満ちた響きであった。
◆
「そのライオルさんは、いまどこに……?」
「命を落としました。この地で、命からがら妻を守りながら」
「……そう、か」
ミクリアの問いかけに、オルリアは静かにそう答える。
「それなら、ライオルさんのお嫁さんは? 彼女は生きているの?」
「ここは人が生きるには適しません。子を産み、間もなく……」
そして、更なる問いかけにも心痛な声で対応した。
そうなのだとしたら、いったいオルリアには何が残ったのだろう。ミクリアはそう思わざるを得なかった。人間を信じて裏切られ、期待をかけた息子は亡くなった。
だとすれば、最後の希望と呼べるのは……?
「いまの私には、ティオルしかおりません。あの子は、息子の生きた証です」
「ティオル……それって、もしかしてキミの?」
「えぇ、人の血の入った孫です」
ミクリアはそれを聞いて、息を呑む。
いまだかつて、魔物であるドラゴンと人間の子など聞いたことがなかった。しかし、今までの話から考えれば、可能性はゼロではない。
人になる術があるなら、子を為すことも不可能ではないはずだった。
「ティオルは私にとって、最後の望みです。人との懸け橋となり、新たな可能性の息吹をもたらすであろう大切な子なのです」
「オルリア……?」
「ただ、あの子は外を知りません。そして、あまりに『強すぎる』のです」
そこまで語って、ふとオルリアは周囲を見回す。
そして、あることに気付くのだった。
「ティオルがいない。これは、もしや――」
エンシェントドラゴンは、少し慌てた声色になってミクリアに告げる。
それは、彼女にとっても想定しないことだった。
「ミクリア様、お急ぎください! あの子は直接、力を試そうとしています!!」
「え、それって――」
少女が驚き声を上げると、オルリアが答える。
「お連れの皆様が、危険です!!」――と。
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