5.似た者同士の祈り。
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そう思う、今日この頃。
「ねぇ、ヘリオス。今回の討伐対象って、エンシェントドラゴン、だよね?」
「そうだけど、どうしたの? ミクリア」
「ううん。たいしたことじゃないんだけど、ただ――」
先ほど、ここの魔力を『澄んでいる』と口にしてから。
ミクリアは何かを考えるようにして、しばし沈黙していた。そうしてやっと口にしたのは、そんな問いかけ。いったいどうしたのだろうかと考えていると、彼女は何か言いよどんだ後に首を左右に振るのだった。
「……やっぱり大丈夫!」
そして、笑顔を浮かべてそう言う。
取り繕うようなその色に、気付かないほどボクも鈍感ではない。ミクリアは幼い少女の姿をしているが、人間とはまた違うのだ。きっとボクの知らない悩みや、気がかりを抱えているはず。
そのすべてを理解できるとは、口が裂けても言えない。
だが、ほんの少しでも――。
「ねぇ、ミクリア? 悩みがあったら、気軽に話してね」
「ん、どうしたの急に」
「えっと、さ。だってボクたちは――」
少女の心労を和らげたい。
そう一心で、ボクはミクリアにこう告げるのだった。
「大切な仲間、だからさ」――と。
我ながら都合の良い言葉だ、とも思う。
それでも、彼女のことを大切な仲間であり、恩人と思うのは本心だった。だからこそ、どこか悲しげに笑うミクリアのことを放って置くことはできない。
リュカさんも大切な仲間だ。
ただそれ以上に、いまのボクがあるのはミクリアのお陰なのだから。
「ヘリオス……」
こちらの言葉に、精霊の少女は瞬きを繰り返す。
そしてどこか安堵したように息をついて、外見年齢に不相応な笑みを浮かべるのだった。小さな手でボクの服の袖を軽く掴んで、次に軽くうつむく。しばしの沈黙があって、ミクリアはおもむろにボクの顔を見上げた。
そこにあったのは、真剣な眼差し。
先ほど感じた迷いの色は、一切が消えていた。
「……えへへ、ありがと」
見つめ返すと、少女は照れくさくなったのか頬を掻く。
だけど、すぐに強い意思を感じさせる声色に変わって口にした。
「うん、そうだね。いまのアタシには、ヘリオスやリュカがいる」
そして再びこちらを見つめて。
今度は誤魔化すことなく、こう語るのだった。
「たぶん、ね。この先にいる彼のこと、アタシは知ってる。向こうも同じ。互いにどうしようもない壁にぶつかって、迷い続けてきた者同士」
「壁……?」
「だからこそ、ヘリオスにお願いがあるんだ」
「…………」
彼女の言葉に、こちらは無言で頷く。
すると、
「きっと壁は超えられる、ってさ――」
少女は慈愛に満ちた表情で、胸に手を当てて言った。
「彼……ううん。あの子に、教えてあげて欲しいんだ」――と。
その響きはとても優しくて。
まるで、祈りのような声だと思った。
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