4.あまりにも穢れがないから。
遅くなり申した(´;ω;`)
色々あったんです。ごめんなさい_(:3 」∠)_
「……やっぱり、おかしい」
「どうしたの、ヘリオス? すごく難しい顔をしてるけど……」
ダンジョンの最奥も近付いてきた頃合い。
ボクが不意に足を止めると、すぐ隣を歩いていたミクリアが首を傾げた。続いてリュカさんも立ち止まり、揃ってこちらを見てくる。
リュカさんは気付いていないのだろうか。
あるいは、違和感を覚えながらも無視していたのかもしれない。
彼女の表情をちらりと見ると、そこにはどこか緊張した色があった。
「リュカさん。ここはもう、ダンジョンの最下層……ですよね?」
「……えぇ、そうですね」
ボクはそんなリュカさんに、念のため確認を取る。
すると返ってきたのは、肯定だった。
「ヘリオス、どういうこと?」
そんな中で、一人だけ状況を理解していないのは精霊の少女。
ミクリアは小首を傾げて、こちらに訊いてきた。なので、ボクは周囲に気を配りながら少女に説明する。
「おかしいんだ。最奥とは言わずとも、ここがダンジョン最下層ならもっと、強力な魔物が襲ってきても不思議じゃない。それなのに、実際は――」
魔力の流れを確認して、眉をひそめて。
「魔物はおろか、魔力の流れすら穏やか過ぎる」――と。
それを聞いてようやく、ミクリアも異変に気付いたようだ。
少女は周囲を確認した後に、しばし考えてから言う。
「そっか……これは、普通じゃないんだ」
そして、ボクとリュカさんを見て続けた。
「アタシは今まで、これが当たり前だったから……」
「当たり前だった、って?」
「うん、だって――」
どこか懐かしがるような。
しかし、それと同時に疑心を抱いたようにして。
「ここの魔力は、あまりに澄んでいるから」――と。
◆
「――あぁ、そうか。まさか、とは思ったがな」
「お爺ちゃん、どうするの?」
暗闇の中、そんな会話が響く。
穏やかながらも威厳のある声と共にあるのは、あの人影のそれだ。その幼い声に『お爺ちゃん』と呼ばれた存在は静かに、しかしどこか張り詰めたように言葉を口にする。
「露払いはできている。だがしかし、安易に部外者を招き入れることはできない」
そして、軽く身動ぎをしたらしい。
だがそれだけで、空間にある大気はひどく揺さぶられるのだった。
威圧的。そうとも感じられる厳格な声の主が態度にも、しかし幼い声は特別気後れしたような様子もなくこう返した。
「だったら、戦うの……?」
「………………」
あまりに無垢な声音で。
対して『お爺ちゃん』は黙り込み、なにかを考えていた。
そうして数十秒が経過し、ようやく彼は幼い声の主の気持ちを察したらしい。
「ティオルよ、お前は知りたいのだな……?」
「……うん」
ティオルと呼ばれた声の主は、しばし間を置いてから頷いた。
すると、相手はついに決心を固めたらしい。
何者よりも巨大な、山の如き身体を起こしてこう言った。
「それならば、見定めなければなるまい」
一段と険しい声色で。
「この地に至る者たちが、それに見合う格の持ち主か否か、を……!」――と。
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