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4.あまりにも穢れがないから。

遅くなり申した(´;ω;`)

色々あったんです。ごめんなさい_(:3 」∠)_









「……やっぱり、おかしい」

「どうしたの、ヘリオス? すごく難しい顔をしてるけど……」




 ダンジョンの最奥も近付いてきた頃合い。

 ボクが不意に足を止めると、すぐ隣を歩いていたミクリアが首を傾げた。続いてリュカさんも立ち止まり、揃ってこちらを見てくる。

 リュカさんは気付いていないのだろうか。

 あるいは、違和感を覚えながらも無視していたのかもしれない。

 彼女の表情をちらりと見ると、そこにはどこか緊張した色があった。




「リュカさん。ここはもう、ダンジョンの最下層……ですよね?」

「……えぇ、そうですね」




 ボクはそんなリュカさんに、念のため確認を取る。

 すると返ってきたのは、肯定だった。




「ヘリオス、どういうこと?」




 そんな中で、一人だけ状況を理解していないのは精霊の少女。

 ミクリアは小首を傾げて、こちらに訊いてきた。なので、ボクは周囲に気を配りながら少女に説明する。




「おかしいんだ。最奥とは言わずとも、ここがダンジョン最下層ならもっと、強力な魔物が襲ってきても不思議じゃない。それなのに、実際は――」




 魔力の流れを確認して、眉をひそめて。




「魔物はおろか、魔力の流れすら穏やか過ぎる」――と。




 それを聞いてようやく、ミクリアも異変に気付いたようだ。

 少女は周囲を確認した後に、しばし考えてから言う。




「そっか……これは、普通じゃないんだ」




 そして、ボクとリュカさんを見て続けた。





「アタシは今まで、これが当たり前だったから……」

「当たり前だった、って?」

「うん、だって――」





 どこか懐かしがるような。

 しかし、それと同時に疑心を抱いたようにして。






「ここの魔力は、あまりに澄んでいるから」――と。











「――あぁ、そうか。まさか、とは思ったがな」

「お爺ちゃん、どうするの?」






 暗闇の中、そんな会話が響く。

 穏やかながらも威厳のある声と共にあるのは、あの人影のそれだ。その幼い声に『お爺ちゃん』と呼ばれた存在は静かに、しかしどこか張り詰めたように言葉を口にする。




「露払いはできている。だがしかし、安易に部外者を招き入れることはできない」




 そして、軽く身動ぎをしたらしい。

 だがそれだけで、空間にある大気はひどく揺さぶられるのだった。

 威圧的。そうとも感じられる厳格な声の主が態度にも、しかし幼い声は特別気後れしたような様子もなくこう返した。




「だったら、戦うの……?」

「………………」




 あまりに無垢な声音で。

 対して『お爺ちゃん』は黙り込み、なにかを考えていた。

 そうして数十秒が経過し、ようやく彼は幼い声の主の気持ちを察したらしい。





「ティオルよ、お前は知りたいのだな……?」

「……うん」





 ティオルと呼ばれた声の主は、しばし間を置いてから頷いた。

 すると、相手はついに決心を固めたらしい。




 何者よりも巨大な、山の如き身体を起こしてこう言った。





「それならば、見定めなければなるまい」





 一段と険しい声色で。





「この地に至る者たちが、それに見合う格の持ち主か否か、を……!」――と。





 


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