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【ONARA】
『ぷぅ………?』
こちらの様子を伺っているような、軽快で、情けのない音。
普段からおならばかりしているわけじゃない。
きちんと意識して、人前では出さないようにしているし、器用に臭いの無いすかしっ屁だってできる。
なのに、どうして。
こんなに肝心なときに限って、勝手に出てくるのだろう。
時間を巻き戻したい。
おならが出たあの瞬間より前に。神様、どうかお願い。
そんな祈りが通じるはずもなく、おならをしたという事実は変わらない。
一番大切な瞬間に、全てをぶち壊すおなら。
たった一瞬、されど一瞬。
わたし達の世界は、色を変える。




