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25.二人でランチタイム

プリシラお気に入りのピザの専門店は、大きな石窯がトレードマークだった。


店内は客の入りもかなりのものだ。

待たされている間に、正午を前にして自分たちの後ろに、すっかり行列ができていた。


うまく滑り込めたって感じだな。ラッキーだ。


少しして、俺たちは窓際の眺めの良い席に通された。


店は食べ放題形式で、メニューは決まっておらず、ピザが焼けると次々と客のテーブルを回って、もってきてくれる。


それを食べる分だけいただくという方式だった。


プリシラが無邪気に笑った。


「ワイン飲む?」


「昼間から酒はまずいだろ。それから未成年もな」


「レオっちってばお堅いなぁ」


飲み物をブドウジュースの炭酸割りにして、小さなテーブルを囲み二人でピザをつまんだ。


プリシラが口からチーズをぷらーん♪ と伸ばしながら目を細める。


「んー! 学園のカフェテラスのピザも悪くないけど、やっぱり専門店サイコー! このチーズとトマトソースとバジルのピザって、超おいしいし! たしかピザって、勇者が広めたんだっけ? あとカラオケとかもでしょ? マジリスペクトって感じ?」


勇者が考案したとされる魔法装置や食文化は、今では王国中に広まっていた。


「ねえちょっと聞いてるのレオっちってば?」


「あ、ああ、そうらしいな。まあこの国は豊かだし、元々似たような食べ物もあったから、勇者が広めなくても、そのうち誰かが作ったんじゃないか?」


「平民が生意気なことを言うねー」


プリシラが小悪魔っぽく笑う。


「悪かったな生意気で」


窯焼きの薄いピザ生地は、適度に焦げ目が付いて香ばしくて美味だった。


お腹もふくれてきて、人心地ついたところで俺は聞く。


「ところでプリシラは回復魔法が得意みたいだけど……」


「あんまりそういうこと言わないでくれる? っていうか、恥ずいし」


困ったようにプリシラは眉を八の字にさせた。


「なんで恥ずかしがるんだ? マッサージにも取り入れてるんだろ?」


「それはそうだけど、ほら……回復魔法の得意なやつって、エロイっていうじゃん」


そういう噂があるのも知っている。


回復魔法の適性に愛の深さが関係しているなら、あながち間違ってるとも言い切れない。

回復魔法学の研究は、他の魔法に比べてまだ未発達で謎が多いのだ。


プリシラには弱者を救いたいという慈愛の気持ちがある。それが彼女の力の源泉に関わっているのかもしれない。


とはいえ、本人がエロい事を気にしているなら、スパッと断言してやろう。


「迷信だ。気にするな。むしろ自信を持っていいと思うぞ。あのワンコを助けたのは、プリシラの回復魔法の力なんだから」


うつむき気味になると、プリシラは恥ずかしそうに笑った。


「えへへ……やだ。ちょっとガチで褒めるとか照れるんですけど」


「おうおう照れろ照れろ。素直な方が可愛いぞ」


かあっ! と赤熱するようにプリシラの顔が赤らむ。


「そういうのマジ勘弁してよ。可愛いとかさ……冗談だってわかってても、言われるとちょっとキュンとするし」


本心からで、冗談のつもりは無いんだが……。


しかし、せっかく良いところが見つかったのに、プリシラの回復魔法を今回の交流戦に活かすのが難しそうだ。


痛みの肩代わりも、自分に使うわけにはいかない。それに使用後には立てなくなるほど疲労が残る。


魔法発動から回復までに時間もかかることから、戦闘中に自身に使うのは無理だろうな。


「なあプリシラ。召喚魔法はどうなんだ?」


彼女がクリスと出会ったきっかけは、召喚魔法言語に関する解釈の違いからだった。


「え、えっと……ほら、この前だってあたし、構文間違ってたし……得意って言えるレベルじゃないよ」


寂しげな目をするプリシラに俺は小さく首を左右に振った。


「構文のことはそれはそれとして、召喚獣と話すのは好きなんだろ?」


「う、うん。あーもう、レオっちって平民なのに妙に魔法に詳しいし、なんかモヤモヤする!」


「エステリオで管理人をしてると、毎日色々と勉強になるんでな。交流戦の公式ルールだと、一体までの召喚獣は許可されてるから、一緒に戦ってもらっても良いんじゃないか?」


プリシラの瞳が悲しげに揺らいだ。


「それって可哀想じゃん! 戦わせるために呼び出すとか、ひどすぎるし」


うーん、まさか召喚獣に関する基本的な知識が無いのか?


「なあプリシラ。召喚獣が幻体なのは知ってるよな」


「そ、それくらい当たり前っしょ? 本体は別の世界にいて、こっちにはその影みたいなものが投影されてるって。だからこっちで召喚獣が死んでも、本体は無傷だって」


良かった。さすがに基礎知識はもっていたか。


俺に模範解答で返してから、気付いたようにプリシラは目を丸くさせた。


「っていうか、レオっち、今のもエステリオで授業を盗み聞きしたから知ってるの?」


「あ、ああ。そうだけど」


「なんか怪しいしぃ」


ジトッと湿った視線が俺に向けられた。


「今は俺の事はいいから、召喚魔法についての話をしよう。プリシラは幻体でも召喚獣が傷つくのは嫌なのか?」


「あったりまえじゃん。そもそも、あたしが仲が良いのって小動物系で、みんな超可愛いし。傷つくところなんて見たくないし」


「なら、俺みたいにかっこいい召喚獣に声をかけてみたらいいんじゃないか?」


「は、はああああ!? レオっちみたいな召喚獣なんて、い、いるわけないじゃん! ばっかじゃないの?」


やたらと取り乱してるぞプリシラ。


そんなに動揺させるようなこと言ったか?


「はいはいこの話はシューリョー! 次ぎはカラオケだかんね! 門限ギリまで盛り上がるんだから!」


時刻は午後十二時半。


今からカラオケで四時間近く潰すつもりかよ!


さっき回復魔法を使ってへばってたのに、すっかりプリシラは元気を取り戻した。


付き合うほどにプリシラのことが色々と解ってきたな。



ここは最後までお付き合いしますか。

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