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魔法と魔人と王女様  作者: 月立淳水
幕間2
57/176

おまけ:人物紹介(1)(三人の主人公)

幕間のおまけコンテンツ、人物紹介その1、三人の主人公です。多少のネタバレを含みます。興味ない方は次話に進んでください。

大崎おおさき 純一じゅんいち


 主人公。十七歳の高校生。ごくふつーのちょっと数学が得意な高校生。ただ、ちょっとゆがんだ歴史マニア。


 どういうわけか宇宙の彼方の王女様にさらわれて面倒に巻き込まれます。その理由も最終部で明らかになりますが、ともかくそれを除けばごくふつーの高校生なのです。


 クラスメイトの毛利玲遠、マービン洋二郎とよくつるんでいます。それと、浦野智美。浦野にはひたすらプリンを与え続ける育成ゲームをやっている感覚のようです。


 学校の成績は中の中ですが、数学だけは常に百点。結構異常なことなんですが、本人にはあまり自覚がなく「数学なんてルール通りに意地悪問題を解くだけだから全部解けて当然」とうそぶくありさま。一方歴史マニアを自認する癖に歴史の点数は常にクラス最下位レベルだったりします。寝坊癖は自覚がありながらも治らず。


 基本的に性格は穏やか、ちょっと引っ込み思案なところがあります。疑り深くて人前で話すのも超苦手。根っこのところではほとんど引きこもりみたいな性格、友達に恵まれて歩いてきたような彼。


 ちょっとした売り言葉にカチンと来てしまうのも悪い癖。


 他人をうまく冷静に制御して操ることが得意だという勘違いを心の奥底に持っていて、そのことが、相手の思わぬ反応にひるんで防衛反応を起こしてしまうことの原因だったりします。


 また、誰かを守る、ということに対して、幼稚な英雄願望的憧れを持っています。


 それは、自分の責任で行動を起こせないことの裏返し。自分の行動に自信が持てないから、誰かを守るために行動しているのだということにしたい。そのために、異常に卑屈になってしまうことも。


 だから、誰かに施しを受けたり、誰かにちょっと迷惑をかけたり、あるいは、誰かに面倒だと思われたかもしれない、そんな風に思った瞬間に、自分の意志を失い、呟くように謝って、一歩引いてしまう。


 けれども、彼のことをよく知る人々は、彼のそんな性格をとてもよく理解していて、その少し間違った優しさを本当の優しさに導こうと手を取ってくれます。本当に、家族に友達に恵まれた、弱い主人公。


 一方、彼以外の誰もが打ちひしがれるような本当の逆境にはめっぽう強い、我を忘れるほどの強さを見せます。それは彼の英雄願望がそうさせているのでしょうが、それはそれで、多くの人を勇気づけ助けることになります。


 そんな彼は、作中で一番精神的に成長していきます。


 自分が恵まれていることに徐々に気づき、本当の優しさを知り、暴走しがちな強さを芯のある強さに置き換えていくようになっていきます。


 この物語では、何より彼の成長を見てほしいです。


***


「……僕は、下がります」


「君に敵が立ちはだかるなら僕が蹴散らしてやる!宇宙のすべてを敵に回しても君の未来を縛らせやしない!」



■セレーナ・グリゼルダ・グッリェルミネッティ


 ヒロイン。ゆるぎなきヒロイン。十六歳の王女様。


 宇宙の彼方、惑星エミリアとあと二つの惑星を領有する王国「エミリア王国」の国王の一人娘です。


 わがままで考えなし、のように見えて、国際政治やらなんやらについては結構考えているし、王侯貴族としての責任を誰よりも自覚しているちょっと大人びた子。


 と言って、人にあてがわれた結婚相手と素直に結婚するほどおとなしいわけでもなく、そのほか気に食わないことがあると宇宙船に乗って家出してしまうという困った子でもあります。時々天才的な策略家にもなるようです。


 主人公ジュンイチとはまるで逆で、とても強気で自信家で、周りを巻き込んでみんなに勇気を与えます。彼女の笑顔、そして決意の瞳の炎は、あらゆる人を虜にし、その心に強さの炎を燃え上がらせるのです。


 しかし、他人に行動を起こさせる勇気を与えながらも、「自分が決めなきゃ気が済まない」というふりをしながら、いつも一番重い責任を一人で負おうとします。


 その責任に押しつぶされて自らの心が折れそうになると、王女の仮面をかぶってそれをやり過ごそうとするのが彼女の悪い癖。ジュンイチたちと出会わなければ、そうやっていろいろなことをあきらめ続ける人生だったかもしれません。


 民の幸福と生命を預かる王族とは何か?


 その責任を負う自らの人生は何か?


 彼女は考え続けています。


 ずっと、孤独にその道を歩んできた彼女に、苦楽を分かつ人ができたとき、彼女は成長しはじめます。


 はんぶんこ。


 彼女がついにそう言った時、それは、彼女が『他人を信じる』というとても大切なことを心に宿した瞬間なのです。


***


「やめて! もうたくさん! これ以上私に希望を持たせないで!」


「私がエミリア王女の誇りにかけて、あなたを守ります」


■ジーニー・ルカ


 頼れる知能機械。いわゆる人工知能みたいなものです。


 なんだか妙に人間臭いところもあったりするのですが、基本的には情報処理の化け物。


 ジュンイチの命令でどんどん新しいことをこなしていく、能力成長度で言えば作中一番の彼(?)ですが、彼の持つ秘密こそがこの作品のSF的テーマの一つとなります。彼の持つ不思議な力こそが、ジュンイチを作中最強の勇者あるいは魔王たらしめています。


 彼がなぜそうあるのか?


 皆さんもそれを考えながら読んでもらえるとうれしいです。


 ここにあまり彼の紹介を書けないのが残念。


***


「差し出がましいこととは存じますが、理解しておりました」


「ジュンイチ様はオーダーをくだされば結構です」


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