episode 7
Side:九
狼神様に襲われた傷を止血してもらった俺は、行方知れずとなった恵那を探すことにした。
「まずは姿を消した恵那を探すぞ。山の社までは美波と一緒だったよな。俺も恵那の声を聞いてるから、あの場所に恵那は確かにいた」
「うん。だって恵那ちゃんが、社に行こうって……そういえばあの時」
「どうかしたのか?」
「ここちゃんを探すのに、村中を走り回ってたとき、あの人が駆けていくのが見えたの」
「あの人?」
「ほら、恵那ちゃんの後をつけてた男の人。でね、その人と入れ替わるように、今度は恵那ちゃんが走って来たの」
「入れ替わるようにか。よし、ターゲットを変更だ。あの男を探すぞ。美波、あいつを見たって場所に案内してもらえるか」
小柄な恵那を探すより、何かを知ってそうな男の方を探すことにした。
「うん、わかった。でも、ここちゃん、何かわかったの?」
「あくまで推測の域を出ないけど、早いとこ恵那を見つけないと……」
「そうか。あの男の人に狙われるもんね」
「………………」
ここちゃんはまるで将棋の棋士のように、千手先まで見えているような顔をしていた。
しかし、その表情に余裕は無く、むしろ私にはピンチに陥っているかのように感じ取れた。
「なぁ美波、見てみろよ」
ここちゃんはそう言うと、地面を指差し、私の視線を誘導した。
「争ったような跡?」
「ああ。だがどちらかと言うと、倒れたんだな」
ここは未舗装の道の為、手を付けばその型が砂に跡を残す。
「恵那ちゃんかな?」
「いや。これは男の方だよ。その手の跡に、手を乗せてみたら分かる」
私は言われるがまま、地面に手を置いた。
「関節一つ分は違う」
「ああ。それから靴の跡も残ってる」
この靴の跡は、恵那ちゃんを付け回していたあの男の人のものに違いない。
すると、ここちゃんは何かに気が付いたみたいで……。
「あの時感じた違和感は、これをだったのか。だとしたら恵那。お前は何を考えているんだ」
「えっ? 恵那ちゃんがなに? ここちゃん、何がどうなってるの?」
「答え合わせは恵那を見つけた後だ。今はこの足跡を追跡しよう」




