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国民的歌手のクーデレ美少女との恋愛フラグが丈夫すぎる〜距離を置いてるのに、なんで俺が助けたことになってるんだ!?  作者: 午前の緑茶
第五章 テスト編

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第21話 対談

 放課後、俺は山田さんと屋上で向かい合っていた。屋上に人はおらず、静寂が辺りを包む。


 山田さんの黒髪が夕陽に照らされ、さらさら揺れる。髪に隠れた白い首筋がちらちら見え隠れする。


「えっと、まず確認なんだけど、山田さんがシャートンってことでいいんだよね?」

「……うん、そう」


 ゆっくりながらも山田さんは頷いた。


「まだ全然頭の中が整理出来てないんだけど、そもそもなんで俺が山田さんの正体に気付いていると思ったの?」

「昨日のメール。シャートンの新曲についての用件のメールだったから」


 ほら、と言わんばかりに左手のスマホに昨日のメールを表示する。件名の下、内容の始まりの部分に、確かにシャートン様と記載されていた。


「いやいや、あんな一瞬でそこまで分かる訳ないよ。件名がちらっと見えたくらいだったし」

「……それに、わざとらしいくらいシャートンのこと話題にするから。てっきり、私の反応を見てからかってるのかと」

「山田さんの中で俺ってそんな性格悪い人になってるのかよ」


 そんなまどろこしいこと、わざわざする訳ない。そもそも気付いたら態度に絶対出てる。流石に同級生の正体が憧れのアーティストと知って、冷静でいられるわけがない。


「……だって、神楽くんが紛らわしいことするから」

「勝手に山田さんが勘違いしただけでしょ」


 ちょっぴり唇を尖らせて睨んでくるけど、俺は絶対悪くないと思う。山田さんが自爆しただけだ。


「なんていうか、意外と山田さんってぽんこつ?」

「ぽ、ぽんこつ?! 絶対違うし。と、とにかくそういう訳だから、私の正体を人に話すのはやめてほしい」

「うん。それはもちろん」


 話したところで信じてもらえるかは怪しいし、わざわざ話すことではない。素直に頷く。

 けれど、山田さんはジト目でこちらを見続ける。


「言っておくけど、私の前でシャートンの話題を出すこともだからね」

「え、いや、それは厳しい……」

「厳しいって言われてもこっちだって困る。前から神楽くんのベタ褒め聞かされて、恥ずかしかったし、今回だって恥ずかしかったんだから」


 薄ら桜色に頰を染めて、潤んだ瞳で睨んでくる。


 確かにシャートンの時の山田さんの様子は少しおかしかった。まさか、そういう理由だったとは。


「……分かったよ。とりあえず山田さんの前で話題を出さなければいいんでしょ?」

「うん。そうしてくれればいい」


 まだ方法は思いつかないけれど、とりあえず山田さんがいる時は気をつけるとしよう。そう決意する。


「ほんとうに話題に出すのはやめてね? 変に親しくなるのも。私たちは隣同士なだけ。前にも言ったけどそれだけだから」

「分かってるよ」


 昨日勉強会の時に山田さんが言っていた通り、俺と山田さんは割り切った関係だ。それは山田さんの秘密を知ってしまった今でも変わらない。

 例え山田さんが俺の大好きなアーティストだったとしても学校でそのことは関係ないのだから。


 これからも距離を置いて接していくことは変わりはない。そう改めて心に誓った。


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― 新着の感想 ―
ま~無理でしょ!
[良い点] 照れながら強気なふりの山田さん可愛いですね! 山田さんの前で、シャートンの話が出来なくなったら照れさせられない? 神楽くんはそれでも照れさせてしまうのでしょうね(*´-`) どんな照れさ…
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