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13代目の破壊神  作者: 千路文也
1st #1 生徒会長誘拐事件
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089  束の間の再開


神代が倒したソフィアの骸が消失していき、次第にカードへ変化していった。


「ふう」


安堵の溜め息を吐きながら、落ちているカードを拾った神代。すると、神代は目を見開いて驚愕した。


「……ランクG?」


そう、神代が雀羅を使って漸く倒した恢飢は最も下級であるランクG。本来ならば魔法を覚えたての小学生ですら倒せる程度だが、合成恢飢のランクGでは、一般エクソシストが本気を出してなんとか倒せるレベルだ。


「………………」


しばらくカードを見つめて考え込んでいた神代。


「おーい、神代!」


自分の名前を呼ぶ声が聞こえ、顔を上げる神代。すると、聖人が手を振りながら走って来ていた。


「聖人!」


勝ったのだと確信した神代は、聖人を抱きしめて出迎えた。


「お、おい」


いきなりハグされて戸惑う聖人。脳裏に伝わる女の子の感触が、聖人の顔を赤く染めていた。


「良かった。本当に良かった」


泣いてはいなかったが、神代の声は泣き声に近い。それだけ、聖人の事を心配していたという証拠に繋がる。


「あんな木偶の坊に負けはしないさ」


それを聞いた神代は、安心した様子で聖人の身体から離れた。


「あんた、もしかして!」


聖人が右手に持っている常夜叉鎚矛を指を刺した神代。聖人は「これか」と言って、常夜叉鎚矛を神代に見せた。


「俺のモーニングスターも雀羅化に成功したんだぜ。名前は常夜叉鎚矛って言うんだ」


まるで子供の如く無邪気な顔で説明する聖人。


常夜叉鎚矛(ラグナザール)?」


「そうだ。精神世界で恢飢の魂と戦ってさ、その名を勝ち取ったよ」


「へー。やるじゃない」


そう言って、素直に称賛した神代だった。


「それでさ」


急に表情を真剣にさせた聖人。


「どうしたの?」


「時を止める魔法ってあるのか」


「……はあ?」


神代は開いた口が塞がらないのはこの事かとばかりに聞き返した。


「だから、時を止める魔法だってば」


「時を管理しているのは神だし、私達が扱える代物じゃないわ」


ハッキリと答えた神代。


「でもさ、恢飢が攻撃してきた瞬間に変な人が現れてよ……時間を止めたんだ」


「夢でも見たんじゃない?」


「そうかな、確かに時間が止まった気がするんだけど」


聖人は妙に納得がいかない様子だった。


「それよりも、香久弥ちゃんよ!」


「どうかしたのか?」


「私も戦闘に巻き込まれて、その時に香久弥ちゃんを一人で逃がしたのよ。後を追わなくちゃ」


神代は香久弥が逃げた方向に走り、それを追うように聖人も後に続いた。



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