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13代目の破壊神  作者: 千路文也
1st #1 生徒会長誘拐事件
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084  異常欲


神代は香久弥を背負って香久弥の学校まで駆け抜けていた。


「玖雅さん……大丈夫でしょうか?」


小さな手で必死に神代の背中にしがみついている香久弥が言った。


「大丈夫よ。アイツは常人を越えた域で頑丈なんだから、心配する必要無いわ」


あくまで、聖人の勝利を信じている神代だ。


「本当ですか?」


「マジマジ。私が保証するわ」


「その確信は何処から?」


「アイツは私の予測以上に進化し続けている。だから、きっと勝てる」


「あ、あれ」


「え」


香久弥が上空を指差した。神代は制止して、香久弥が指差す方向を見ると、制服を着た褐色肌の女子高校生が、電柱に座ってスマートフォンを弄っている。


「ちょっとー!」


神代はその女子高生に呼び掛けた。女子高生は怠そうにスマートフォンをポケットの中に入れ、神代の顔を睨みつけた。


「なーに? チョー驚愕の顔してるじゃん」


「電柱に座って危ないでしょ。感電したらどうすんのよ!」


「ぶっちゃけ、アタシは感電しないしー。あんたこそ身の安全に気をつけなよ」


「はあ?」


「痛みを味わないと分かんないの? チョーめんどくさい……」


そう言うと、女子高生がポケットの中から巨大な大剣を取り出した。その大剣を両手で持ち上げた女子高生は、神代目掛けて大剣を振り下ろした。


「ちょ!」


寸前で躱した神代。対象を失った大剣は道路を陥没させる。


「いっがーーい。身軽なんだね」


陥没した道路から大剣を抜き取った女子高生。


「あんた、私に恨みでもあるの?」


「別に個人的な恨みは無いけど、あんたには死んでもらうから」


自分の身長はあろう大剣を片手で振り回し始めた女子高生。細い身体で、とんでもない腕力だ。


「もしかして、さっきの木偶の坊の仲間?」


「大正解。よく分かったね偉いね」


やたら上から目線の言い方に腹を立てる神代。


「アンタ……名前は?」


「人に名前を聞くときはさァー。まず、自分から名乗るモンでしょ。マジ非常識」


「神代月波」


「アタシはね。ソフィア・ボレゲーロ。以後、よろしくって感じ?」


神代は香久弥が背中で震えているのを感じて、香久弥を下に降ろした。


「とにかく逃げて」


「でも」


「心配しないで。後で追いつくから」


香久弥は黙って頷き、ソフィアの横を走って通過した。


「…………」


逃げる香久弥には目も触れず、一直線に神代を睨みつけているソフィア。


「香久弥ちゃんには攻撃しないのね」


「アタシの目的はアンタを殺す事だからさ。ガキんちょには興味ナッシング」


ソフィアの魔法収容力(セルペンス)が上昇している。神代は戦いが始まると予測し、武器を取り出した。


「破鏡」


神代は長槍を両手に持った。


「うわっ……細っそーい」


「アンタの剣がデカすぎるのよ」


そう言い返した神代だった。





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