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13代目の破壊神  作者: 千路文也
1st #1 生徒会長誘拐事件
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064  圧倒的な一撃


山彦寺の奥深くに、異常なる数値の魔法収容力(セルペンス)を全身から流出させているエクソシストが居た。彼は右手に刀を持ち、鋭い精神の刃を研ぎ澄ましていた。


彼の名前は零界堂威吹(れいかいどいぶき)。零界堂家の百二十六代目当主だ。威吹は賞金額ランキング一位の恢飢を退治しに、この山彦寺まで足を運んでいた。


(全く以て、理不尽な光景だ……)


まさしく、威吹の眼前に広がる光景は理不尽の極まりであった。


六十七の巨大海月が威吹の周りを浮遊していた。これが女の子ならば理想的な状態だったかも知れないが、実際は凶暴な恢飢の群れ。人によっては死を覚悟する者もいるはず。


しかし、威吹は何も感じていなかった。憎悪、絶望、悲観、意気消沈……常人ならば、その場で発狂しよう感覚に襲われる。だが、威吹は何も感じないのだ。


威吹は瞑想していた。この状況でだ。

そして、目を見開いた。口もだ。


「数で囲み、僕を潰そうとする考え方は聡明な軍師らしくて好きだよ。でもね、僕を相手にその戦術は大きな間違いだと気付けない程、愚かなのかな? 恢飢って奴は」


魔法収容力(セルペンス)をさらに強大にした威吹は、魔法収容力を青いオーラに変換した。例えるなら、目に見える威圧感だ。


驚異を感じた分身大海月(アルバハル)は威吹の身体を触手で巻きつけ、身動きを封じようとした。


「効かないよ」


具現化された魔法収容力(セルペンス)をバリアとして活用し、襲い来る触手を弾き飛ばした威吹。分身大海月(アルバハル)達は一歩下がり、陣形を整え直した。


「ほう……」


六十七の触手の先端から、滅却魔法と思しきエネルギーが収束されていく。そう、海月達は滅却魔法の一斉射撃で威吹を消し飛ばそうとしている。


分身大海月は、まだ勝てる手段があると思い込んでいるのだ。


威吹は笑みを浮かべて、右手の刀に力を入れた。


「来なよ、その過信ごと斬って捨てるから」


触手から滅却魔法が発射された。と、同時に刀を振った威吹。


「獄門刀・一閃」


放たれた剣からは竜巻の如き剣風が海月を巻き込んだ。





「何だぁ!?」


頂上に聳える山彦寺に向かっていた聖人と神代は、地面の揺れに衝撃を受けた。


「っく」


立っていられない。二人は直ぐに地面へと倒れた。


「地震か?」


聖人は近辺に木にしがみついた。


「違う……あれを見て」


頂上を指差した神代。頂上からは雲の様な煙が噴き出していた。


「神代、急ぐぞ。威吹の身が危ない」


「分かったわ」


そう感じとった二人は、立ち上がって、頂上まで走った。




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