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13代目の破壊神  作者: 千路文也
1st #1 生徒会長誘拐事件
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051  死隼の翼


万屋・獅子(よろずや・しし)。表向きは何でも屋の万家業だが、恢飢現象の一報があれば、現場に駆けつけるエクソシスト家業でもある。


丁度、獅子浪太の初仕事が舞い込んできたのだ。


「浪太。新井マンションの屋上で恢飢が暴れていると通報があったぞ」


「アイアイサー」


浪太は新井マンションに向かった。住所はコンピューター端末で確認する。


「大和軍・熱血道案内」


というアプリを立ち上げる。というか、これしか無かったのだ。


「今から貴様に新井マンションまでの道案内をしてやろう」


「はあ……」


「俺の道案内に従えば、良き戦争日和を味わう事が出来るぞ」


「ええわ、別に」


これは五十年前のアプリである。五十年前と言えば、第三次世界大戦で日本軍が北朝鮮に進軍していた頃である。やたら上官目線なのは、その名残であろう。


「右前方に戦車発見。匍匐前進で進め」


「ねぇよ。戦車なんて何処にも!」


浪太は大和式・熱血道案内と格闘しながら、新井マンションに急行した。









新井マンションの屋上。

獅子浪太はトンカチを握り締めた。なぜなら、恢飢が目の前にいるからだ。


「緊張するわ」


辺りはもう真っ暗である。故に浪太は底知れぬ恐怖感を感じていた。


「破鏡」


恢飢に聞こえない程度の声で呟いた。まもなく、トンカチはスコップに姿を変えた。


「重い」


片手では到底持てない重さであり、両手でスコップを持ち上げた浪太。


「どっせいい!」


浪太はそのままスコップを振り降ろして、恢飢の頭蓋を叩き割った。


「グアアアアアア」


絶命の雄叫びを上げた。そう確信した浪太であったが、事実は違っていた。


「何だこれ」


羽音が聞こえた。一羽二羽では無い。大量の羽音だ。浪太は何事かと上を見上げた。


「なんや……」


巨大なカラスの群れがマンションの上空を飛んでいた。ざっと二、三十羽はいるであろう


「そうか」


あの恢飢は絶命の雄叫びを上げたのでは無く、助けを呼んでいたのだと浪太は気づいたのだ。


「くそ」


この重量級のスコップでは、集団戦を切り抜けるのは無理だろう。そう確信したのだ。


「カーカー」


カラスの黄色い眼が、浪太をロックオンした。

とたんに、三羽のカラス達が突撃。


(あかん)


敗北を覚悟した瞬間。浪太を襲ったカラスが何者かに撃ち落とされたのだ。


ボンボンという音を立てて、三枚のカードに変わったカラス。


「下がってろ坊主。コイツは俺の獲物だ」


二丁拳銃を持った男が、浪太の前に現れた。

その男はロン毛で薄汚れたスーツを着ている。


「誰だか知らねぇが、ありがとう」


「早く行け」


浪太は急いで屋上のエレベーターに乗り込んで行った。




「諸君。元気かな?」


「カーカー」


答えるはずも無かった。相手は獰猛な恢飢であり、話し相手にしては凶暴すぎるのだ。


カラス達は動かない。男に警戒している様だ。


「Eランクの恢飢だけあって、少しは脳味噌が使えるらしいな」


二丁のハンドガンを構えた男。彼は、屋上から上空のカラス達を狙い打ちしようというのだ。


「おっと、自己紹介がまだだったな」


答え無いと分かっていてもだ。男は続けた。


「俺の名前はヴォルフガング・ロドリゲス。二つ名は……」


二丁拳銃から無数の魔法弾が発射された。その魔法弾は全て命中し、カラス達は撃ち落とされたのだ。


「死隼の拡散機関銃(ファルコ・ペッレグリーノ)


カラスが隼のスピードに追いつく事は不可能。

勝敗は名前の差で決定していたと言っても過言では無かった。


「……って怪物共に言っても仕方ないか」


何故、恢飢に自己紹介したのか。それはヴォルフガングにも分からなかった。




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