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13代目の破壊神  作者: 千路文也
1st #1 生徒会長誘拐事件
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039  猫のデート


アッシュとエリザベスの出会い。それは、卍堕羅質屋の帰り道まで、さかのぼる。


たまたま散歩していたエリザベスと偶然会い、意気投合した二人はデートの約束をしたのだ。


そんなアッシュは、足早に公園へとやって来た。見ると、エリザベスがブランコの上に座っている。どうやら先に到着した様だ。


「待ったかの?」


アッシュが前足で、エリザベスの身体を撫でた。


「いいえ、私もさっき来た所なのよ」


エリザベスは全身が白い柄で、毛並みが美しい猫である。


雑種でブサ猫のアッシュとは天と地ほどの差があるのだ。


そんな二人の格差デートが今始まる。最初の場所は魚屋であった。


「私一度やりたかったの」


「吾輩が手本をお見せしよう」


魚屋の店員が、お客さんの相手をしている隙を狙って、身構えるアッシュ。


見事、秋刀魚を口にくわえて戻ってきた。


「プレゼントじゃ」


そう言いながら、秋刀魚をエリザベスの前に落とした。


「ありがとう。でも、自分の獲物は自分で取るから、その秋刀魚はアッシュちゃんが食べてよ」


美しい、優しい、気高い。まさに三拍子揃った猫である。アッシュが惚れない訳が無いのだ。


「健闘を期待している」


「ありがとう」


エリザベスは目標を設定した。それは秋刀魚である。


「いくわよ!」


秋刀魚に目掛けて、飛びついたエリザベス。


(取った)


そう思ったのもつかのま、後ろで自転車のベルが鳴り、店員が振り返ったのだ。


「くるあっ!」


店員に見つかり、ダッシュで逃げる二匹。

アッシュはデブな割りに、足が早いのだった。


「ハァハァ……」


取り合えず二匹は、ビルとビルの間に隠れた。


「ごめんなさい、私のせいで」


素直に謝るエリザベス。何を隠そう、自らの失態で獲物を取り逃がしたのだ。


「大丈夫であるよ」


エリザベスの肩に手を回して、慰めるアッシュ。彼は決して怒らない紳士の猫なのだ。


「ありがとう。アッシュちゃん」


「どういたしまして」


アッシュはあくまでも、不細工な顔で笑いかけた。この笑顔が、巷の女子に「ブサ可愛い」と言われて人気なのである。


「次の場所に行こうか」


「はい」


二匹は山を登った。山の上には、碩大区全体を見渡せる絶好のデートスポットがあるのだ。


「すごーい」


丘から見える景色は壮大だった。綺麗なオレンジ色の夕日が、碩大区を照らしている。


「アッシュちゃんも早く早く」


「吾輩ちょっと疲れ……ん?」


アッシュはふと、地面に置かれている布を見つけたので、前足で裏返して見ると、その布には『生徒会長』と書かれていた。


「奴も来たのか」


地面が、えぐれている。ここで何かあった様だと少し心配するアッシュ。








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