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13代目の破壊神  作者: 千路文也
1st #1 生徒会長誘拐事件
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033  千年王国


「そういうロドリゲスさんはどうだったのですか?」


ビョルンは、興味津々で訊ねる。


「どうって?」


「とぼけないでくださいよ。滑子さんに告白するって、昨日言ってたじゃないですか」


ヴォルフガングは覚えが無かった。昨日は、ワインボトルを5本空けており、何を喋ったのか記憶にないのだ。


「失敗したよ」


素直に打ち明けた。


「そうですか」


「ああ」


「………………」


しばらく沈黙が続く。ヴォルフガングは、さっきの出来事を思い出すだけで、テンションが底の底へと落ちきってしまうのだ。


「ビョルン」


「はい?」


「訓練に付き合ってくれないか」


「いいですよ」


ビョルンは、二つ返事で引き受けた。

なぜならば、料理長に叱れて、しばらく仕事が無いのだ。


「では行くか」


ヴォルフガングの背中についていくビョルン。実はビョルンも、暇を見つけては訓練所で鍛練しているので、訓練所の事は熟知しているつもりだった。


訓練所にはオペレーター室とシミュレーション室がある。ビョルンはオペレーター室へ、ヴォルフガングはシミュレーション室にそれぞれ入った。


「標的を恢飢に設定しろ」


「はい。それで、レベルはどうします?」


スピーカーからビョルンの声が聞こえる。ビョルンが言っているレベルとは、恢飢の強さの事だ。


「マキシマムレベルだ」


「マ、マキシマムですか?」


「そうだ」


「危険ですって! まだ実験段階と言ってましたよ」


「そんな事、誰が言った?」


「千年王国の役員ですよ!」


「奴の言葉は信じられないな」


ヴォルフガングは千年王国の役員を嫌っている。以前、訓練所の視察に来た役員を招き入れたのだが、図書室に五時間近くこもって、仕事を放棄していたのだ。


「それに……」


言葉を続けた。


「暴れたい気分なんだよ」


ヴォルフガングの目が鋭く光る。「止めてはならない」と、ビョルンは直感した。


「分かりました。いきますよ」


ビョルンはそう言って、マキシマムレベルに設定した。「これで舞台は整った」と思うヴォルフガング。


すると、景色が廃墟に変わった。第三次世界大戦で崩壊した中国のマップである。


「バオウデルだな」


ヴォルフガングの言う通り、千年王国が『バオウデル・忘却の囁き』をモチーフにして造ったのだ。


「おでましか」


大蛇型の恢飢が、ビルを這い回っている。


「お手並み拝見だ」


ハンドガンを構えて、大蛇に照準を合わせた。

壮絶な戦いの開始である。




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