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13代目の破壊神  作者: 千路文也
1st #1 生徒会長誘拐事件
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026  チャンスを掴め


「誰そいつ?」


少年は無知であるが故に、残酷な物言いをしてしまう。


霧登風華(きりのぼるふうか)と申しましてね。四大祓魔師といわれる名家の御嬢様ですよ」


丁寧に解りやすく説明したつもりのラストラッシュ。


「姉ちゃん知ってる?」


クドラクは、暇そうに手遊びをしているハリティーに話を振った。


「ぜんぜん知らない」


それに素っ気なく返したハリティー。どうやらこの二人は四大祓魔師すら知らない様だ。


「では、今回で覚えてもらいましょうか」


「うん。聞かせて聞かせて」


何でも興味を示すのは子供である証拠だ。それは決して悪い事ではないが……。


「四大祓魔師の霧登家は実にお金持ちであります」


「うんうん」


「ですから、霧登風華を誘拐して、身代金を要求するのですよ」


勿論、それだけが理由では無い。


「兄貴天才じゃん!」


「天才天才ッ! 大天才!」


二人は純粋に称えているつもりだったが、天才を自負しているラストラッシュは、皮肉に聞こえてしまった。


しかし、子供の言う事に腹を立てる程、ラストラッシュは愚かな人間では無い。


軽く聞き流したのだ。


「ただ、問題がありましてね」


「問題?」


「ええ、大問題です」


ラストラッシュは繰り返した。


「霧登家の執事が難敵でして」


「そいつ強いの?」


「それはもう……名の知れたエクソシストですよ。別の意味で、ですがね」


「兄貴より強いとか?」


「いいえ。私よりは腕が落ちますが、無傷で勝てる相手では無いと言っておきましょう」


「その執事さんの名前は、なーに?」


「ヴォルフガング・ロドリゲス」


魔法界には、『名前で威圧感を与える者は強い』という格言があるのだが、奴はその格言の代名詞だと、ラストラッシュは思っている。


「へー」


どうでもよさそうに相槌を打つハリティー。横ではクドラクが欠伸をしていた。


「興味ありませんか?」


「興味なーし」


「以下同文」


興味の有る話題と、興味の無い話題の差が激しいのもまた、子供の証である。


「仕方ありませんね」


ラストラッシュは溜め息をついた。


「では、仕事の話をしましょうか」


密談の始まりである。話が長くなりそうだと思ったハリティーは、三人分の紅茶を用意して、テーブルに置いた。


「ハリティーさん。ありがとうございます」


ハリティーの頭を撫でたラストラッシュ。


「ふふっ」


ハリティーは顔を赤くした。


「姉ちゃんばっかり誉められてズルいぞ」


「あんたは気がきかないから、まだまだお子ちゃまね」


「お前が言うなー!」


微笑ましい光景だった。この二人が盗賊ギルドに与える癒しは、想像以上の支えとなっている。





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