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タヌキと俺と、時々坊主  作者: 黒辺あゆみ
2話 ひとちがい

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15 作戦会議

かくして、「天邪鬼を退治しちゃおう!」作戦が実行されることとなったのだが。


(そもそも、天邪鬼ってなにをしたいんだ?)


郁也が抱く謎に対する、ポン助の答えはというと。


≪天邪鬼って意味わからないことをするヤツらだし、考えるだけムダムダ≫


答えにも参考にもならないことを言われたので、崎山にもこの謎をぶつけてみた。


「その男子っていうのがケンカ相手の彼氏で、二人の仲を引き裂こうとしていると見た!」


そんな答えが返って来て、郁也は「うーん」と唸る。


「……それ、やってて楽しいんですかね?」


「まあ、『他人の不幸は蜜の味』っていう言葉があるくらいだし、楽しい人はいるんじゃないのぉ?」


この郁也の素朴な疑問に、崎山が首を捻りながらもそう答える。

 けれど郁也的には、腑に落ちないというか。


「もう一方の女子もその彼氏が好きで、振り向かせたくてやったとしても、そんな悪口を吹き込んでくる相手とその彼氏が付き合う気になりますかね?」


少なくとも、郁也は嫌だ。結果としてそんなことをしたら友達も好きな人も失って、なにも残らない気がするのだが。

 この意見に、清水が小さく笑った。


「橘くん、恋愛ごとに冷静な視点は無粋ですよ」


まるで熟練のモテ男みたいな台詞を言われて、郁也はムッとするよりも感心してしまう。

 テレビドラマの中ではなくて、現実でこれを聞こうとは。


「さすが快斗くん、おモテになる人は言うことが違うわぁ♪」


崎山がニヤニヤ顔でそんなことを言う。


「そこ、茶々を入れない。

 それにこれは僕がモテるモテないではなくて、一般論です。

 恋愛は感情の産物ですから、理詰めの思考はそぐわないという話です」


「はぁ……」


清水から授業のような口調で説明され、郁也は眼を白黒させる。

 恋愛の「れ」の字も経験のない郁也には、全くわからない理論だ。


「そもそも、その彼氏とやらにちょっかいを出しているのは天邪鬼みたいですから、本人の意思かは未確認ですし」


この清水のコメントに、崎山が首を傾げる。


「天邪鬼って、素直じゃないってことじゃん?

 その女子の娘もその彼氏が好きなのは、好きなんじゃないのぉ?」


これに清水は「ふむ」と頷く。


「人を天邪鬼に例えての意味ではそうですけどね。

 天邪鬼そのものは、単なる愉快犯です。

 意味なんて考えるのは無駄の極みですよ」


最終的な清水の意見がポン助と似たり寄ったりであるのに、郁也は驚く。


(ポン助って案外、間違ったことを言っていないのか)


≪ほらぁ、ほらぁ~!≫


感心する郁也に、脳内でポン助がドヤっている。

 それから色々と話し合って、実行日は明日の朝のホームルーム前となった。


「モヤモヤするのは、朝のうちに片付けてスッキリさせたいよねっ♪」


という崎山の意見が採用された形だ。

 その崎山が考えたざっくりとした計画としては、郁也があのケンカしていた女子二人の居場所を特定して見張っていて、その間に崎山が、どうやら男子にくっついているらしい天邪鬼の方をそちらへとなんとか誘導してくる、というものである。

 何故郁也が女子二人の方を受け持つのかというと、崎山曰く、二度もケンカの場面に遭遇したのだから、「二度あることは三度ある」に期待するそうだ。


「天邪鬼の方は私と、快斗くんがなんとかするよ!」


「……僕も参加するんですか」


崎山にメンバーに入れられた清水が、眉をひそめる。


「だって、万が一危ないかもデショ?」


「その自慢の拳でなんとかなるでしょうよ」


崎山が頬に手を添えて顔を傾けるのに、清水がバッサリと切り捨てる。

 しかし崎山の押しに負けて、清水も結局参加を了承した。


 ――けど、そんなに上手くいくものなのか?


 郁也としては不安であった。

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