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タヌキと俺と、時々坊主  作者: 黒辺あゆみ
2話 ひとちがい

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7 つながった

突然の清水の登場に、崎山が驚くかと思いきや。


「なになに快斗くん、アタシの援護してくれるの?」


崎山は清水に気安く話しかけた。

 しかも「清水先生」ではなく、下の名前で呼んでいる。


「なにそれ、快斗くんってば小食ぅ~、そんなんで足りるのぉ?」


さらにはきつねうどんだけを持って来た清水に、崎山が信じられないという顔をした。


「愛が食べ過ぎなんですよ」


清水の方は、崎山の大盛ソースカツ丼を見て胸やけしたような表情である。

 両社のいささか気安過ぎるやり取りに、郁也は目を丸くする。


「二人、仲が良いんですね?」


そう呟く郁也に、清水は「あれ、まだそこなんですか?」とこちらも目を丸くした。


「私とそっちの愛は身内ですから。

 愛は私の母の年の離れた妹で、叔母さんです」


 ダンッ!


 崎山がテーブルを拳で叩いた。


「快斗、オバさんって言うな?」


ドスの効いた低い声に、郁也がブルった。


「ぶりっ子キャラの化けの皮が早々に剥がれましたね。

 橘くん、こちらが愛の本性ですので。

 ちなみに格闘オタクの武闘派ですから」


「や~ん、言われちゃったぁ!

 これでも力こぶが自慢なんだゾ♪」


変わり身のギャップがスゴい。


「ほらほら、馬鹿なことをやっていないでサッサと食べないと、せっかくの食事が冷めますよ」


「あ、そうだった♪」


清水の一言で、三人でしばし食べることに専念した。

 しかし見たところ、清水のうどんの減り方と崎山の大盛ソースカツ丼の減り方が同じペースなのがすごい。

 清水がのんびり食べているにしても、崎山の食べるペースは早過ぎだろう。


「それで、話はしたんですか?

 せっかく推薦してやったのに」


「それがね、まぁだなの♪」


清水と崎山が同時に食べ終えたところで、二人がそんな会話をしている。

 ちなみに郁也は最後のペンギンに取り掛かっているところだ。

 ペンギンがあまりに上手く作られているため、いちいち口に入れるのにためらうことから時間がかかっていたりする。

 その最後のペンギンを食べているところで、崎山が聞いてきた。


「でねでね!

 橘くんって部活に入りたくないヒト?」


「いえ、特にそんな拘りがあるんじゃなくて、チャンスがないっていうか」


周囲の期待と自身の気持ちとのミスマッチが生じているだけである。

 青春を人並みに謳歌したい気持ちは持ち合わせているのだ。


「じゃあさ、アタシと一緒に部活やろうよ♪」


「あの、でも、運動部はちょっと、苦手かなって思うんですけど」


崎山の先程の様子からすると、部活とは格闘部とかだろうと考えて断りのセリフを捻り出そうとする。


「ノンノン!

 運動部なんかじゃないって♪

 一緒にやろうっていうのはね、その名もオカルト部!」


「同好会に格下げになったでしょうが、幽霊部員だった去年の三年生がいなくなったから」


崎山のキメポーズ付きの説明に、清水からのツッコミが入る。


「オカルト部?」


それは、幽霊とかオバケを殴ってやろうとかいう部活なのだろうか?

 郁也はポン助が崎山にサンドバックにされる図が思い浮かぶ。


≪ヒドイ、ボクってボコボコにされちゃうの⁉

 ニンゲンってコワい~!≫


郁也の想像が同じ脳内住まいのポン助に流れたのかは知れないが、ポン助がさめざめと泣かれた。

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