猫カフェに行ったらしい
かなり色々な出来事があった、水泳の授業も終わり、今は放課後だ。
なんだか疲れたので、今日は早く帰りたい。
「さよなら、修史くん!私バイトだから」
「おう!じゃあね天音さん。あ、今さらだけど修史って呼び捨てでいいからね!」
「ははっ、ファンに闇討ちされそうだから止めとくよ」
ホームルームが終わった瞬間、天音さんはすぐに帰っていった。
バイト頑張って欲しい。
「松本くん!ま、また明日ね!じゃあね!」
「おう、部活ファイト!早香さんも俺のこと呼び捨てでいいからね?」
「え!?そ、そんなのできないよ!ご、ごめんね!」
…あれ?あっさり断られた。
二人に呼び捨てにしてもらうには、まだ時間が必要みたいだ。
天音さんと早香さんは俺に手を振りながら教室を出ていってしまった。
「「じゃあね!松本くん!また、明日ね!」」
「うん、皆また明日ね!」
クラスの女子も俺にさよならを言って教室から出ていった。
皆もバイトやら部活やら頑張ってほしい。
遠慮してか、放課後クラスの女子に囲まれてチヤホヤはされなかった。
多分、俺が人に囲まれるのが嫌いだと初日に勘違いでもされたのだろう。
まあそれでも、外で手紙を渡そうとしてくれる女の子はいるけどね。←どや顔
(そろそろ帰ろうかな。妹も家にいるだろうし。)
俺は学校を出て駅へ向かった。
駅に着き、電車を待っているとちっこい幼女が俺に向かって走ってきた。
あ、幼女じゃなくて愛奈さんだった。
「修史、電車あたいと同じだろ!一緒に帰ろーぜ」
「おう、勿論いいよ!帰ろっか」
愛奈は相変わらずナチュラルに呼び捨てだった。
そう!こんな風に気楽に名前であの二人にも呼んでほしいよ。
なんで愛奈さんが?とは一瞬だけ思ったが、行きの電車で一緒だったから、そりゃ帰りも一緒になるよね。
「愛奈さんは部活やってないの?」
「愛奈でいいぞ!部活はやってねー。家の手伝いあるから!」
「家で何かやってるの?」
「ん!猫カフェやってるんだ、うち」
ね、猫カフェだと!?
前の世界で死ぬほど疲れたときに俺が唯一癒された、あの天国のような場所をやってるだと!?
前の世界では、猫と酒だけが俺の味方だったから、これはきっと運命だ!
…行くしかない!
「マジで!?凄いね、行ってみたい!俺、猫大好きなんだ!」
「お、おう!そうなのか?そうだ!良かったら今日、うちに寄ってけよ!」
「いいの!?お言葉に甘えていくね!」
「お、おう!」
俺のテンションが思いの他高かったからか、愛奈は少し戸惑っていた。
俺は妹に「帰り、遅くなるかも」と連絡をしておき、猫カフェへと向かった。
ー
「着いたよ!ここがあたいの家だ!」
「おー!ここかっ!遂に着いたぞ!」
俺の降りる駅から二駅ほど離れた駅で降り、少し歩いたら着いた。
二階建てで、壁には黒猫と白猫のじゃれ会う絵が大きく描かれていた。
自動ドアの上には、看板があり、「猫カフェ 愛ニャ」と綺麗にデザインされて書かれていた。
「…愛ニャ…で、合ってる?愛奈と掛かってるの?」
「き、気付いちまったか。そうなんだよ!あたいが生まれた時にオープンしたから、親がこういう名前にしたんだよ!」
「な、なるほどね。」
愛奈の両親はいいセンスしてると思ったよ(笑)
気を取り直して猫カフェに入る。
チリンチリンッ
「ただいまー、帰ったぜ」
入った瞬間風鈴の音が店内に響いた。
「お帰り愛奈。…ん?」
カウンターの奥から、愛奈のお母さんらしき人が出てきた。
髪を赤く染めている事と身長以外は愛奈に似ていた。
ちょっと、昔悪さをしてた雰囲気がするヤンママって感じの人だ。
愛奈の目付きはきっとこの人から遺伝したのだろう。
「お邪魔します!初めまして。愛奈の友達の修史です」
俺は愛奈のお母さんに挨拶をする。
お母さんは俺を見て少し考える素振りを見せた後、何かを納得したように手をポンッと叩いた。
そして…爆弾を投下した。
「ああ、今からセッ○スするのか。お風呂沸かしてあげる。…愛奈にあまり無茶させないでね。…あっ、逆か」
俺は急いでツッコんだ。
「ちょっと待ったぁ!そ、そんなつもり無いですよ!猫を見に来ただけです!」
誤解を解くために必死に叫んだ。
それはまだ早いし、心の準備が…。
そんな時、愛奈は首を傾げて母親に質問をした。
「なあ、母さんセッ○スって何だ?」
俺は驚いて愛奈を見た。
同時になんて無垢なんだ!と感動した。
「あらっ?愛奈その歳になってまだ知らなかったの?セッ○スっていうのはね…」
「ちょ、ちょっと待ったー!そう言う話は男子の前でしないでください!」
俺の前で性教育が始まろうとしたのでまたしても止めた。
ツッコミにかなり体力を使った。
その後何とか事情を説明して、猫を見せて貰えることになった。
なんとも変わったお母さんみたいだ。
「愛奈には、今夜きちんと教えといてあげるよ!でも、あの子、体小さいから無理はダメ。…あ、その前に修史くんが絞られちゃうかもね。うちの子だから」
愛奈が着替えてくると言って奥に消えた後、愛奈の母親にそう耳打ちされた。
俺はつい、恥ずかしくて真っ赤になってしまった。
絞られるもんか、体力なめないで!
じゃなくてそんな事しないよ!…多分。
ー 数分後
ニャアニャア
…俺は今、猫に癒されている。
愛奈のお母さんにと少し話をした後、無料で猫と戯れさせて貰っている。
特にお気に入りなのは、生まれたての黒猫ちゃんだ。
「はぁぁー!癒されるぅ!猫ちゃんマジ可愛い~!!」
猫を膝の上にのさて撫でていると、私服に着替えた愛奈さんがやってきた。
この白と黒の猫の、お店のエプロンを着けている。
かなり愛奈のエプロン姿はキュンと来た。
「可愛いだろ!家の自慢の子達だからな!皆骨抜きにされて帰っていくぜ!」
「ああ、マジ最高だよ。ありがとね、愛奈」
「お、おう!どういたしましてだぜ!」
(修史の笑顔って、なんか…いいな。あたいまで笑顔になるぜ。)
にへっと笑った愛奈を見て、なんだか幸せを感じた。
癒しの時間はあっという間に流れ、いつも夕飯を食べる時間になってしまった。
「そろそろ帰るわ!妹が家で待ってるし。今日はありがとな!」
「お、そうか。…じゃあな、またいつでも来いよ!」
「あら、夕飯食べてかなくて大丈夫?何なら泊まる?」
「いえ、大丈夫です、お邪魔しました!」
そう言って俺は愛奈の猫カフェを出て、家へと向かった。
ー 家に着いた
「ただいまー」
「お帰りなさい、お兄ちゃん。遅かったけど、今日はどこ行ってたの?」
家の扉を開けた瞬間、トテトテと走ってきて妹は出迎えてくれた。
「友達の家が猫カフェやってるって知ったから、行ってみたんだ。そしたらハマっちゃって」
「そうなんだ!よかったね、お兄ちゃん。いいなー、芽亜も行ってみたいなー」チラッチラッ
妹が連れてってと目線で訴えてきたので、承諾した。
「近いうちに行こう」と言うと、満面の笑みで「うん!」と妹は返事をした。
ー
ご飯とお風呂を妹と一緒に済ませたあと、リビングのソファーでだらけていた。
(今日はかなり色々あったな。流石に眠いや。)
そう思ってウトウトしていると、妹がテンション高めで話しかけてきた。
「お、お兄ちゃん!大変、お兄ちゃんのファンクラブ出来てる。しかも、もう会員数が300人越えだって!」
「な、なんだと!」
俺は跳ね起きて、妹が見ているスマホを覗いた。
そこには「修史様の会」と書いてあり、俺の色々な写真や情報などが乗っていた。
写真は俺が天音さんに撮って貰ったやつや、いつ撮られたのか分からないものも多かった。
盗撮は気にしないのでどんどん乗せて欲しい。
「いやー、嬉しい限りだね。300人か。凄いな」
俺の通う学校は女子は全部で1000人ほど。
一割が男性だ。
ファンは大抵学校の人だから女の子の2割から3割が俺に注目してくれている事になる。
…いやー、素晴らしいね。
「め、芽亜もファンクラブ入ろっかな?」
妹がそう言うので、俺は優しく囁く。
「芽亜はどんなファンよりも一番側で、長い間俺の事を見てくれてるだろ。だから、ファンクラブに入らなくてもいいんじゃないかな?」
「そ、そうだよね。お兄ちゃんの事を一番知ってるのは芽亜だもんね!」
(お兄ちゃんの事を一番知ってるのはやっぱり芽亜だよね!…そ、そう!芽亜が一番なんだから!)
妹は納得した様子だった。
すると嬉しくなったのか、俺の膝に頭を乗せて来た。
俺は妹の頭を撫でてあげる。
「えへへー、お兄ちゃんの一番は芽亜かー。お兄ちゃん…の…一番…は…芽…亜…」スヤスヤ
妹は俺の膝枕で寝てしまった。
「さて、俺もねるかな!」
妹をお姫様抱っこして運び、俺の部屋に運んだ。
そして、ベッドに寝かして抱きしめて、俺は眠りに着いた。
修史の前の席の女の子は…。




