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ぐうたらエルフののんびり異世界紀行 ~もふもふと行く異世界食べ歩き~  作者: キミマロ


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第43話  大都会のギルド

「流石は大都会、ギルドも大きいねえ」


 ウェブルの街のギルドは、港の岸壁沿いに位置していた。

 二階建てのがっしりとした建物で、壁が赤いレンガで出来ている。

 ひょっとすると、もともとは倉庫とかだったのだろうか。

 建物の出入り口がかなり大きく作られていて、天井も高そうだ。


「あれ?」

「もしかして、お休みですかね?」


 大きなドアを開けて中に入ると、ギルドの中は何故か人の気配がしなかった。

 妙だなぁ、ギルドは年中無休のはずなんだけど。

 私はがらんとしたホールの様子に首を傾げつつも、すぐに声を上げる。


「すいませーん! 誰かいませんかー!」

「はい!」


 たちまち、カウンターの奥からギルドの制服に身を包んだ受付嬢さんが姿を現した。

 良かった、別に休みというわけではなかったらしい。


「ご依頼ですか?」

「ううん、私たちは冒険者だよ」


 そういうと、すかさず私たちはギルドカードを取り出した。

 それを見た受付嬢さんは、びっくりしたように目を丸くする。


「これは失礼しました! お二人とも冒険者さんだったんですね!」

「そだよ。どうせ、私のことはお使いの子どもとか思ったんでしょ?」

「あはは……。申し訳ありません」

「まあいいよ、子どもと思われるのはしょっちゅうだし。それより、ずいぶんガラガラだけど何かあったの?」

「あー、それがですねえ……」


 腕組みをして、何やら困ったような顔をする受付嬢さん。

 その眉間には深い皺が寄り、なかなか深刻そうな雰囲気だ。


「実は最近、町周辺のモンスターが急速に減っているんですよ。おかげで仕事が足りなくて」

「それで、こんなに空いていたわけか」

「はい。一応、ギルド本部に調査を依頼しているんですが、あちらもなかなか多忙なようで」


 そう言えば、各地で異変が起きてるとかトゥールズのギルマスも言ってたなぁ。

 ノルド山脈の山崩れも、モンスターが原因だとかどうとか言ってたし。

 その辺の調査で、ギルドもいろいろと手が回っていないのかもしれない。


「なるほどねえ。もしかして、いなくなっちゃったモンスターの中にはテイオウイカも含まれる?」

「はい。テイオウイカなんてよくご存じですね。割とローカルなモンスターですが」

「私たち、テイオウイカの辛子漬けが食べたくてさ。それでテイオウイカを捕まえに来たんだよね」

「あー、ウェブルの名物ですもんねえ」


 納得した様子で、受付嬢さんはうんうんとうなずいた。

 やっぱり、テイオウイカの辛子漬けはかなり有名らしい。


「うーん、どうにかして食べたかったんだけどなぁ。おいしいんだよね?」

「ええ、あれは本当に絶品ですよ。テイオウイカのねっとりとした甘さと唐辛子の辛さのバランスが素晴らしいんです」

「うがー、そう言われると余計に食べたくなるー!!」


 どうして、私が来た時に限って姿を消しちゃってるのかな!!

 こうなったら、海に潜って直接イカを探してやろうか。

 かなりでっかいモンスターみたいだし、案外、探せば見つかるんじゃないかな?

 息が続かないのは風魔法でたぶん何とかできるし……。

 身体を縄で縛って、イルーシャに持っててもらえば……。


「……ララート様、何だかおバカなこと考えてません?」

「そ、そんなことないよ」

「間違っても、海に潜るなんて言わないでくださいね。そんなに簡単に見つかるなら、地元の人だって困ってないんですから」

「……やだなぁ。何百年も生きてる私がそんな安易なこと考えるわけないじゃん」

「今のララート様なら普通にやりかねないと思ったので」

「や、やらないよ」


 いけない、イルーシャにぜんぶ見抜かれてる!

 しかし、まあ彼女の言うとおりだな。

 私が潜って見つけられるぐらいなら、地元の冒険者なら見つけているだろう。


「仕方ない、ここはいったん諦めて別の依頼でもこなそうか」

「そうは言っても、この状態で何かあるんですか?」


 イルーシャは不安げな顔で、受付嬢さんの方へと目を向けた。

 すると彼女は、パラパラと依頼書の束をめくって言う。


「討伐系の依頼は全滅状態なのですが、お手伝い系の依頼ならありますよ」

「お手伝い系かー……」

「あはは、冒険者さんはあまり好まれない依頼ですよねえ」


 私が何とも言えない顔をすると、受付嬢さんはたまらず苦笑した。

 やはりギルドとしても、この状態が好ましいとは言えないのだろう。

 冒険者の活動が減って、けっこう苦しいに違いない。


「ちなみに、どんな内容なんですか?」

「えっと、漁船の手伝いとかですね」

「むむ!」


 私のおいしいものセンサーが、ビビビッと反応した。

 それって、まかないで漁師飯が食べられる奴なのでは?

 船の上で獲りたての魚をさばいて食べる……絶対においしいに決まってるじゃん!


「それ行きたい!」

「わかりました。では、こちらをどうぞ」


 そう言うと、受付嬢さんは私たちに依頼書を差し出した。

 ふむふむ、報酬は安いけどやっぱり賄いつきだね!

 私が期待に胸を膨らませていると、イルーシャがある部分を指差して言う。


「この依頼、集合時間が夜中の三時ですよ。間違ってませんか?」

「いえ、これであっていますよ。漁は朝早いので」

「ぐぇ、三時はちょっとやだなぁ……」


 私がいつも起きるのは、だいたい朝の九時ぐらいである。

 たまに疲れた時とかは昼前に起きることも多い。

 夜中の三時って、それはもう起きる時間じゃなくて寝る時間じゃん。

 うーん、流石にその時間に起きて漁へ行くのは……。


「むぐぐ……!! 究極の二択だ……!!」

「すごい深刻な顔ですね」

「当り前だよ。こんな重大な判断なかなかないからね!」


 私はそう言うと、腕組みをして目を閉じた。

 たっぷり寝るか、おいしいものを食べるか。

 数十秒悩んだ末に、とうとう結論を出す。


「よし、行こう」

「おぉ、食欲が睡眠欲に勝ちましたね!」

「でもいっぱい寝たい! ということで、今日はさっさと宿を取って寝るよ!」

「……結局そうなりましたか!」


 こうして、漁の手伝いをすることに決めた私たちは翌日に備えて早々に宿を取って休むのだった。


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