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ぐうたらエルフののんびり異世界紀行 ~もふもふと行く異世界食べ歩き~  作者: キミマロ


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第38話 いざ、魔境への旅!

「まだかなー、マーセル王国」


 トゥールズの街を旅立ってはや一か月。

 私とイルーシャはフェルに乗って、マーセル王国へと続く街道をひたすら進んでいた。

 そろそろ、国境の山脈が見えてくる頃である。

 マーセル王国の魔境には、強力なモンスターがたくさん生息しているらしいので実に楽しみだ。

 私の『強いモンスターほどおいしい理論』が正しければ、そこはまさにおいしいもの天国。

 未知の食材を想像するだけで、よだれが出てきちゃう……!


「ララート様、本当に楽しそうですね」


 私がウキウキとした表情をしていると、イルーシャが冷めた顔をしてそう言った。

 ……なんだろ、子どものテンションについていけないお母さんみたいな感じだ。


「イルーシャは楽しみじゃないの? おいしいものいっぱいだよ」

「おいしいものって、モンスターじゃないですか! 私は楽しみどころか心配です!」

「大丈夫だって。モンスターなんかに負けないからさ。それに、いろいろな敵と戦うのはいい修行になるしね」

「それはまあ……そうですが」


 修行と言われて、イルーシャは一転して態度を軟化させた。

 ふふふ、何といっても私はイルーシャの師匠だからね。

 修行と言えばたいていのことは通るって知っているのだ!


「イルーシャにはそろそろ精霊級を使えるようになってもらうつもりだからね。頑張ってよ」

「……はい!」


 イルーシャは背筋を伸ばし、少し緊張したような顔をして頷いた。

 精霊級というのは、魔法の位階のことである。

 上から三番目に当たる位階で、これが使えればエルフの守り人としては一人前だ。

 イルーシャはその一つ手前の上級までは使えるけれど、そこでかなり長いこと停滞してるんだよね。

 才能は間違いなくあるのだけど、何というか思い切りが足りないというか。

 小さくまとまっちゃう傾向がある。

 それを打ち破るためにも、魔境での戦闘はいい経験になるだろう。


「よし、そうと決まれば急ぐよ! フェル、走って!」

「わううぅ!」


 軽く背中を叩くと、フェルは勢いよく走り出した。

 うーーん、風が気持ちいい!

 こうして頬を撫でる涼やかな風に目を細めながら、フェルを走らせることしばし。

 すっかり日も傾いてきたところで、街道の先に人が集まっているのが見えてくる。


「あれが国境でしょうか?」

「にしては、まだ山が見えないね。それに、国境にしてはなんかしょぼくない?」


 街道を塞ぐ丸太のバリケード。

 その前に数名の兵士たちが並んだ様子は、きちんとした関所というよりは臨時で作られた検問所のようだ。

 場所も事前に聞いていたところと違っているし、少し様子がおかしい。

 怪しく思った私たちがフェルを降りてそろそろと近づいていくと、すぐさま兵士たちが声をかけてくる。


「止まりなさい。ここから先は立ち入り禁止だよ」

「何かあったんですか?」

「山崩れがあってね。安全が確認されるまで、ノルド山脈の道は通行禁止だ」

「えぇ!? 私たち、マーセル王国へ行きたいんだけど!」


 いま私たちのいる国とマーセル王国とを隔てるノルド山脈。

 大陸の中央部を貫く大山脈だ。

 そこを抜ける山道が通れないとなると、大きく迂回していくより他はない。

 それだと、何か月も旅程が伸びちゃうなぁ。


「安全の確認には、どのぐらい時間がかかりそうなんですか?」

「まだ何とも言えないが……。三か月ぐらいは見た方がいいな。どうやらモンスターの仕業のようでね、ギルドへも緊急で応援を頼んでいるんだ」

「困りましたね……」


 腕組みをしながら、うーんと渋い顔をするイルーシャ。

 私も目を閉じて、参ったなぁと考え込み始める。

 いっそ、諦めてトゥールズの街へ帰ろうか?

 でも、ここまで来ちゃったし流石にそれはなぁ……。

 一か月も歩いて成果無しなんて、まさに骨折り損だ。


「急ぎの旅なのかね?」

「いえ、そういうわけ……」

「すっごく急いでます!」


 イルーシャの言葉を遮り、私は必死で急いでいることをアピールした。

 だって、すぐにでもご馳走を食べたいんだもの!

 早くつけるに越したことはないよ!

 すると兵士さんたちは困ったような顔をしつつも、ある提案をしてくれる。


「ならば、ウェブルから船に乗ってはどうかね? 金はかかるが、山脈を迂回していくよりは格段に早いだろう」

「ウェブルの街?」

「知らないのか? ここからずっと南に下がったところにある港だよ。かなり栄えていたはずだが」


 そう言うと、兵士さんたちは怪訝な顔をした。

 すかさず、私たちは笑って誤魔化す。


「いやー、あんまり人間の国には詳しくなくて」

「人間の国? そう言えば君たち、ずいぶんと耳が長いな。もしかしてエルフなのか?」

「ええ、まあ」

「珍しいな、エルフが人里に出てくるなんて」

「ちょっと見聞を広げようかと……」


 まさか追放されたとも言えないので、適当に言葉を濁して誤魔化す。

 しかし、エルフの事情など別にどうでもいいのだろう。

 兵士さんはふむふむと軽く頷いて言う。


「そういうことなら、なおさらウェブルに行くといい。あそこは港町だから、各地の名産が集まるぞ。見聞を広げるにはうってつけのはずだ」

「名産……! ひょっとして、食材も?」

「ああ。最近だと、東方から伝来したスパイスが有名だな」

「スパイス!?」


 そりゃ、是非とも行かなくては!

 この世界の料理って、全般的に薄味で少し刺激が足りなかったんだよね!

 舌にピリッと来るような辛さなんて味わえたら最高だ。

 うぅ、何だか急に日本のカレーが恋しくなってきたな。

 もしこの世界であの独特の香りと味わいを楽しめるなら……私は何だってするよ!


「ありがとう! イルーシャ、すぐにウェブルへ行くよ!」

「あ、ちょっとララート様! 待ってくださいよ!」


 いきなり走り出した私を、大慌てで追いかけてくるイルーシャ。

 こうして私たちは、進路を南にとってウェブルの街へと向かうのだった。


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