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ポイ活で、異世界ファームを育成しよう!  作者: 櫛田こころ


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第8話 放置ポイ活と思えば

 放置すれば熟成する……のマニュアル機能を使ったかと思えば。


 RPGでいう、MPやHPもしくはSPだったか。あれらを回復するようなゲージと共に、『pt加算』と出たので……どうやら、ポイ活としてはいいシステムに気づいたかもしれない。


 放置は『時間』『手間』だと思われがちではあったが。『清潔』『回復』もその時間に当てられるなら……と、ちょうど戻ってきた美晴に告げることにした。


 美晴にも予想以上のポイント還元額になりそうだったので、意外性を感じたみたいだ。



「AI端末とは言え、学習能力高いなぁ? 藍葉に頼んで正解やったかもしれん」



 せやったら、と言いながら片手でメール文を高速で打ち出して、誰かに送っていたが……数秒もかからずに返信のアラームが鳴り、中身を藍葉にも見せてくれた。



『面白い育成ルートを導き出してくれてありがとう。


 もし、給料日がキャッシュの振り込みか、還元に使えるポイントでいいかを先に聞きたいのだがどうだろう?


 なんなら、運営資金側のポイントをこのあと小鳥遊兄から渡してやってもいい。良いマニュアル提出として、早速使わせて欲しいんだが』



 標準語のメール文は興味深い内容ばかりだったが。都合の良い返答に聞こえなくもない……兄を悪く言うようには見えないが、何か『引っ掛かり』を感じたのだ。甘言のように見せて、違う誘導を促しているようにも。


 中途半端に、身体障がい者として扱われてきた藍葉は、そこについては高校入学あたりから慎重になっていたのだ。環境と人間によって、どれほど差が大きく出るかを学んだせいもある。


 かと言って、選択肢を増やしてくれた分、上司としては仕事が出来る人間かもしれない。



「とりあえず、普通に給料でいいかな? 資金運営はまだいいや」

「俺とかあんまり教えてないもんなあ? 藍葉、この育成ゲーム版……簡単に言や、村とか街に行けたりするん? ここはここで切り離した感じするし」

「そうね。他のモニターって、いるんだっけ?」

「おるけど、あんまり距離近くない設定にはしてある」

「ポイ活競うようにするのは? 例えば、作物とか料理の品評会にして」

「なーる。個々になり過ぎんようにか? 負荷かかるし、お互いのポイ活次第やなあ?」

「健康も大事。肉体が衰えるのは、よくない」

「……耳痛いわ」

「じゃ、バイク軽くしてからお風呂入るねー」



 室内用の介護杖で移動し、隣の部屋にあるエアロバイクに乗って緩くリハビリをすることにした。掴まる箇所がないと、普通に動けないのは仕方ないが……手術費などが早く貯めれるように、あのポイ活モニターで頑張ろう。


 あとで、美晴にレシートがあればスキャンの練習用に使っていいか聞くつもりで、ギアを少し変速するのだった。


 美晴がちらっと見ているのに気づかなかったのは、ワイヤレスイヤホンを装着していたせいだが。だいたい一時間は音楽を聴きながら動かしているのだ。

次回はまた明日〜

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