第45話 どうしよう?
「ごっそさん」
「おなかいっぱーい!」
クルスはリーナのところで、たらふくと言っていいくらい料理をご馳走になった。最初は手伝おうかと言ったが、連絡版のとこを見ろと言われ……もてなしを受けろかなにかの文言が書かれていたため、黙っておくことにした。
そして、リーナの手料理はどれもこれも口に合いすぎて、がっつくのを止められなかった。リーナも自分のをたくさん食べていたので問題はない。けれど、肝心の『問題』はなにも解決していないのだ。
クルスの敷地があのままでは『住めなく』なるので……どうしたら、いいかをだ。
金貨の幻影が落ち着いていたとしても、ひとりで住むのには広過ぎる敷地が出来てしまうだけ。リーナのところで、貴族の別荘くらいなのに。クルスのところも同じかそれ以上であれば、ひとりで住むのは大変、もったいない。
(とは言っても、リーナに住むか?とか言えるか??)
ただでさえ、好意的な印象を受ける女生との共同生活なんて、歩兵の頃でもなかった。野郎まみれの宿舎での生活から抜け出した今では、管理者の目はあっても基本的にやりたい放題。汚い生活をしているわけではないが、目の前の美少女と『いっしょに住まへん?』と簡単に言えるほど、クルスは自分の見た目はよろしくないと思っているくらいだ。
ただでさえ、年下扱いのように『ちゃん付け』で呼ばれている状態でもあるし。
「クーちゃん? どかした?」
「……なんも、あれへんよ」
もやもやするが、呼び名は親しみを持つからこそ呼んでくれる。なにかの話できいたような記憶しかないが、悪いとは思っていない。しかし、ちゃんと呼んでもらうと嬉しいかもと思うくらい……リーナは魅力的だ。自分以外に目を向けてほしくないと思うくらいに、クルスは気にかけていた。
「あ、家のこと? 今日は泊っていくんでしょ?」
「今日は~やけど。今後どないするん。ずっとはあかんやろ?」
「ん~……じゃ、拠点は向こうだけど。こっちに住むとか?」
「いやいやいや? 女の子がそんな簡単に」
「クーちゃんだから言ってるんだけど」
「……さよか」
ああ言えばこう言うで、結局うまくまるめ込まれそうな気もするが。とりあえず、今日はこの家で寝泊まりするしかないのは決定した。
明日のことは明日、と先に風呂は使っていいと言われたが……服がないことに、リーナもさすがに申し訳ないと言ってくれたので。ふたりでクルスの敷地に向かうことにした。着替えくらいは取りに行けるだろうと踏んで。
「……終わって、る?」
「……にしても、なんぞ豪華」
家の方はリーナのところとあまり変わりないが、敷地に大きな変化があった。人はいないものの、家畜が増えてたり見たこともない道具が畑の収穫をほいさっさとしているので、また金貨の幻影が増えているので逆に始末が悪い。
とりあえず、連絡版もみたいので家にふたりでダッシュして向かうことにした。
次回はまた明日〜




